自分の先祖を何代前まで知ってる? まずは明治時代の戸籍を取り寄せてみよう/家系図つくってみませんか?

文芸・カルチャー

更新日:2025/4/19

「戸籍の広域交付制度」で取り寄せが便利に

 戸籍というのは、自身からさかのぼって上に上にと古いものまで取得していくことが可能です。

「上」とは、父母・祖父母・曽祖父母(さらにその上も)を指します。法律的にはこうした自身の上に位置する方々は「直系尊属」と呼称されます(子ども・孫など、下に位置する人は「直系卑属」と呼びます)。

 こうした直系にあたる方々の戸籍を取得する権利を私たちは有しているため、戸籍取得によってご先祖探し・家系図作成が誰でもできることになります。

 なお、父母の兄弟姉妹・祖父母の兄弟姉妹など直系の方々の「横」に位置する人は法律的に「傍系」と呼ばれますが、傍系の方を目指して戸籍取得することはできません。取得できるのは、あくまで直系に位置する方々だけになります。

 このように、権利としては認められていても、実際にさかのぼって戸籍を取得することはこれまでは簡単ではありませんでした。というのも戸籍がそれぞれの本籍地に保管されており、それぞれの役所に請求・取得する必要があったからです。

 現在東京に本籍を置かれている方でも、父は新潟県に本籍を置いており、さらに祖父の代には長野県から分家してきた、などということになると、まずは自身の戸籍を東京の役所で取得し、その戸籍のコピーを添えて父が本籍を置いている新潟県の役所に郵送で請求する、さらには新潟県の戸籍を読み解き、分家前の長野県の役所にまたそこまでの過程の戸籍のコピーを添えて請求するという作業が必要でした。

 しかも、現実的には一人の人間であっても生涯で複数の戸籍を渡り歩いています(婚姻・転籍等により)。そのため、自身・父・祖父の戸籍をさかのぼって揃えていくには、何通もの戸籍を取得しなければならず、そのたびに役所も異なるというような事態でした。

 しかも、郵送であれば定額小為替という一般的にはあまり馴染みのない券面を郵便局で購入してそれで戸籍取得の手数料を支払うことになります。お釣りも定額小為替で送られてきてということで、なかなかに面倒な作業でした。

 ところが、2024年3月1日から「戸籍の広域交付制度」が施行されて、なんと全国どこの役所に保管されている戸籍であっても(自身が権利を有するものであれば)一つの役所から遠隔で取得できることになったのです。

 これにより、自身の戸籍を複数箇所の役所に郵送で請求・取得し、次に父の戸籍を複数個所の役所に申請し、さらに祖父の……などということを延々と繰り返す必要がなくなったのです。

 自身の最寄りの役所に出向いて、そこで全国どこの役所の分の戸籍でもさかのぼって取得できてしまうのです。もちろん、明治時代の分まで取得できてしまいます。

 これなら定額小為替も不要であり、一つの役所で通常の支払いをすれば済んでしまいます。

 私などから見ますと、ご先祖探しが恐ろしいくらいに簡易化されたという印象です。

 まずは戸籍の取得だけでもぜひやってみましょう。

<第2回に続く>

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