PTA役員同士でのダブル不倫。教育の場で家庭崩壊まっしぐらの愛憎劇が進行していた【書評】
公開日:2025/5/3

不倫関係が生まれる場はさまざまだ。職場や趣味のサークル、友人の紹介、さらにはインターネットなど、出会いはあらゆる場所に転がっている。そして時には、子どもの学校のPTAがそのきっかけとなることも——。
『夫の不倫現場はPTA』(サレ妻ゆり子:原作、んぎまむ:漫画/KADOKAWA)の主人公・ゆり子は、夫と小学生の娘とともに暮らす主婦。夫は地域密着型のデザイン事務所を営んでおり、町内会や商工会など地域活動は欠かせない。挙句には、小学校のPTA役員まで押し付けられるはめに。ゆり子は反対したが、体裁を気にする夫は断れず、安易な考えで引き受けてしまう。仕方なくPTA活動全般を夫に任せたゆり子。しかし、これが大きな間違いだった。
いつからか、夫は役員会と称して夜遅くまで帰らなくなり、夫婦の会話も上の空に。不審に思ったゆり子が意を決して夫のスマホを確認すると、そこには見知らぬ女性との親密なメッセージが。友人の助言に従い、ゆり子は浮気相手を特定しようと決意する。すると、どうやら相手の女性は娘の同級生の母親で、さらには夫と同じPTA役員であることが明らかになり——。
本作の見どころは、多数の保護者が集う公的な場をきっかけとした不貞の罪の重さが、エピソードの端々で事細かに描かれている点だ。
本来、子どもたちのための活動を行う場で軽率な行動を取った場合、その代償は計り知れない。保護者同士の不貞が発覚した場合、それはもはや当事者だけの問題にはとどまらないのである。子どもたちの精神的負担はもちろん、地域社会における関係者の社会的信用や学校全体への信頼を損なう可能性がある。
夫の裏切りに傷つきながらも、愛する娘のために戦い抜く覚悟を決めたゆり子。彼女ははたして、自らの手で望む未来を掴み取ることができるのか。人生の選択を迫られた女性の再生の物語の結末を、どうか見届けてほしい。