子どもへのクリスマスプレゼントに投資信託!? パックンが投資の基本を解説【書評】

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更新日:2025/5/2

パックンの森のお金塾 こども投資パトリック・ハーラン:著、伊藤ハムスター:絵/主婦の友社

 ハーバード卒業の経歴を持つお笑い芸人のパックン。母子家庭で育ち、苦しい家計を助けるため、10歳から新聞配達などのアルバイトを行っていたと言います。今では東京都心に家を持ち、芸人の仕事のかたわら、金融教育の講演会の講師も務めるお金のプロフェッショナルです。クリスマスには、2人の子どもに投資信託をプレゼントしていることをご存じの方もいるでしょうか。

 そんなパックンがついに、お金とのつきあい方を子ども向けに伝える本を刊行。さっそく、8歳の息子と一緒に読んでみました。

動物キャラが等身大! 友だちと話すような感覚で読み進められる

パックンの森のお金塾 こども投資』(パトリック・ハーラン:著、伊藤ハムスター:絵/主婦の友社)は、投資歴30年のパックンが教える、幸せになれるお金とのつきあい方入門。各ページには、複利が大好きなリスの“フクリス”や、今しか考えないシカの“イマシカ”など、5匹のタイプの異なる動物たちが登場します。

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動物たちは、まだお金の仕組みをよく知らないし、ツッコミどころ満載のおもしろいことを言うので、子どもたちにとっては等身大の存在と言えそう。お金の基礎知識がまったくなくても、友だちと話すような感覚でわかりやすく読み進められるのが大きなポイントです。

1.まずは節約筋を鍛えよう(ムダをなくして節約する)
2.そのお金をコツコツと投資してお金を育てる
3.長期投資視点で、目先の上下に動じないこと

 これが、本書で解説される3つの大事な法則。このルールを軸にしながら、まずはお金や投資のキホンを知り、子どもでもできる節約術やお金の稼ぎ方、親子でできる投資など、具体的なハウツーを学ぶことができます。

むずかしいお金の流れを8歳でも理解できた

 出費や収入、余剰金など、子どもが初めて聞くような言葉もたくさん出てきますが、動物たちの漫画やダジャレとともに楽しく読めるので、息子はあちこちで笑い声を立てていました。

 これらの言葉の意味は、子どもの周りにありがちな日常のシチュエーションをまじえて語られます。たとえば、余剰金は収入から出費を引いたもので、使わないでためておくお金のことですが、本書ではお金を「どんぐり」にたとえます。「バケツに入ってくるどんぐりを増やしたり、出ていくどんぐりを減らしたりすると、バケツに残るどんぐりが増えて、たまっていく」。それが“余剰金”なのです。

 読み聞かせの最初は「余剰金という言葉はまだ早いかな?」と投げかけたのですが、「大丈夫だから読んでみて!」とノリノリ。初めて聞く用語などに構える気持ちもあったと思いますが、それ以上に、おもしろそうな本だし、もっと読み進めてみたい、という興味がまさったようでした。

「ヨジョーキン(余剰金)は、どうやって増やすの?」という項目では、最後に「出ていくお金を減らして、入るお金を増やせば、余剰金は増えるってこと」とまとめるパックンの言葉を聞いて、「この人すごいね!」と話していました。余剰金の説明を聞いて理解し、パックンの言葉に納得できたからこそ、この言葉が出てきたのだと思います。

 実際のところ、大人でも「そうだったんだ」と言葉の意味をちゃんと知り、腑に落ちる解説がたくさんありました。動物たちのボケにツッコミを入れつつ、引っかかるポイントが子どもにも必ずあると思うので、「子どもにはまだわからない」と思わず、読ませてみるのがおすすめ。わが家では読み聞かせをしましたが、子どもひとりでも漫画のように楽しく読めるので、1回では理解できなくても、繰り返し読んで少しずつ理解を深められるのではないでしょうか。

 ほかにも「動物たちがゲームシェア会社を設立する」という子どもが自分事にしやすい設定で、「ゲーム機を使っていないときはだれかに1日1000円で貸せば、50日で元が取れる」「5人が株主となり、利益が出たら社長ももらうけど、株主にも配当金を出す」など、株や債券についてわかりやすく教えるページも。

 この項目では、「運悪く、ゲーム機を買った直後に、新しいすごいゲーム機が発売され、ぼくらのゲーム機をだれも借りてくれない」という最悪のケースになった場合のリスクや、「一方で、利益が出たら配当金として配らないで、さらに新しいゲーム機を買う」など、さらにお金を増やすための考え方の提案まであり、メリットやデメリットはもちろん、節約や投資で起こりうる出来事を隅々までカバー。

「バカな借金はしちゃダメだけど、借金がすべて悪いわけじゃない」「お金が増えると安心して暮らせる」など、子どもに教えておきたいお金の大切なことへの言及もあり、子どもの投資を間近で見ている著者ならではだと感じます。

わが家では投資資金のプレゼントを決意

 本書を読み、わが家では、今年のクリスマスプレゼントを投資資金にしよう、と決めました。予測不能と言われるこれからの時代、いざという時には、やっぱりお金が大切。せっかくなら、お金とのつきあい方を親子で理解し、お金を味方につけておきたい。お金の大切さを伝えることはもはや、子どもにしてあげられる親の務めとして必須かもしれない、という気持ちも高まりました。

 子どものうちからできる節約や投資がたくさんあることを知れたのも大きな収穫。子どもの初投資におすすめの銘柄の紹介もありますよ!

文=吉田あき

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