誕生日メッセージを前日に送ってもいい? 完璧を捨てて即行動しよう/すごいADHD特性の使い方

暮らし

公開日:2025/5/30

素晴らしき才能を持つADHDさんへ

「隠された才能」を200%活かしきる。そんなテーマで描かれるのは、ADHDの特性を抱えながらも、ユニークな視点と行動力で日々を乗り越えていく著者のリアルな記録。ときに笑えて、ときにじんわり共感して、「あ、これ私にもあるかも」とそっと背中を押してくれる一冊です。

SNSで多くの支持を集める著者が、試行錯誤の末に見つけた“生きやすくなるための工夫”たち。失敗を笑いに、苦手をアイディアに変えていく、その姿にきっと励まされるはず。

※本記事は『すごいADHD特性の使い方 人生が本当にラクになるコツ』(やしろ あずき/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました

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『すごいADHD特性の使い方 <br>人生が本当にラクになるコツ』<br>
『すごいADHD特性の使い方
人生が本当にラクになるコツ』
(やしろ あずき/KADOKAWA)

 今ふとLINEを見たら、未読が267件ありました。
 どうも。LINEが既読にならないことでおなじみのやしろあずきです。

 ADHDで、LINEやメールの未読が100件単位で溜まっている人は少なくないと思います。これ、ADHDの特性である先延ばしグセの典型例です。
 何となく億劫で「後で返信しよう」と放置していたら、そのまま忘れる。返信メッセージを打っている途中で他のことに気を取られて、未送信のまま放置する。
 別の作業に集中していて、LINEの通知に気付かない。「ヤバい、返信しないと」と気付いたときには何週間も経っており、気まずくなってそのままスルー。
 こんなパターンに心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

 ADHDがLINEを未読スルーするのは、決して相手が嫌いなわけじゃないんです。僕の場合は、むしろ「ちゃんと返信しなきゃ」と思っているからこそ、あえて未読の状態を保っている節があります。既読にしてしまうと返信するのを完全に忘れてしまうからという理由ですが、すみません、未読のままでも放置してしまうだけだということに、最近ようやく気づきました。

 理想的な解決法としてはやはり、即レスを習慣づけることです。LINEも仕事のメールも、見たらその瞬間に返信する。ポイントは、完璧な文面を目指さないこと。
「了解です!」「OK」の一言でもいいし、なんならスタンプ1つでいいから、とにかく即レスという行為を体に沁みつけることが重要です。
 考えるな、ボタンを押せ。そう、脳を通すと、ADHDはダメなんです。できるだけ脳を通さずに行動することが大事です。

 誕生日の「おめでとう」メッセージでも同じことが言えます。誕生日でよく、日付けが変わる0時ちょうどにお祝いのメッセージを送る文化がありますよね。
 ADHDの場合、直前まで「よっしゃ! あと10分で0時だ!」と息巻いていても、ネットを眺めていて気づいたら1時を回っている、ということがザラに起こります。それを防ぐためにも、0時10分前だろうが、誕生日前日であろうが、「ちょっと早いけど、おめでとう!」とメッセージを送ってしまう。
 思いついた瞬間に、完璧を捨てて即行動を意識してみてください。

 ……と言ってはみたものの、「それができたら苦労してないんだが?」というのが大半のADHDのリアルだと思います。僕も実際、「即レス月間」というのを設けて実践したことがありますが、あえなく挫折した苦い思い出があります。
 そこで、もっと現実的な解決法として提案したいのが、1日1回、「強制返信タイム」を設けることです。朝の通勤中やランチ休憩、寝る前などに、「本腰入れてLINEとメールの返信すっぞ!」という時間を予定として組み込んでしまうのです。これはぜひ、先ほど紹介した「リマインくん」やアレクサのリマインド機能も活用しながら実践してみてください。
 先延ばししてしまうのは、やるかやらないか迷う選択肢があるから。大事なことなので繰り返しますが、脳を通さない。脳に疑う余地を与えない。「返信をする」という時間を強制的に確保することによって、余計なことを考えずに実践できるはずです。
 気をつけたいのが、メッセージは返信タイムまで開封・既読をしないこと。読んでしまえば返信するのを忘れるリスクがあるので、返信タイムに一気に既読にするようにしましょう。逆に言えば、返信タイム以外の時間でメッセージに既読をつけてしまったら、即レスすることを心がけましょう。
 返信タイムを毎日の歯磨きのように習慣づけられたら、即レスとはいかずとも、ちゃんと返信できるマンには昇格できます。僕も過去に実践していましたが、決まった時間に一気に返信するのが妙に気持ちよく、ちょっとしたゲームっぽさもあり、この方法は思いのほか長続きしました。すみません。ここ一カ月ほどサボってしまって冒頭の未読数になってしまいましたが、この本が出る頃には未読ゼロになっているはずです。多分。

 即レスもムリ、返信タイムをつくるのもムリ……という人のLINE対策としては、とりあえず企業の公式LINEや広告アカウントをブロックするだけで、通知の煩わしさや不要の未読メッセージからは解放されて、ほんの少しだけ「LINEと向き合ってみるか」という気持ちになれるかもしれません。あるいは、大事な連絡をやりとりする人は、ピン止め機能を使って常に画面の一番上に表示されるようにするなど、ワンアクションでできる最低限の工夫を実践してみてください。

 忘れないでいてほしいのは、ADHDの人が悪意なく未読スルーをすることで、「嫌われたかな?」「大丈夫かな?」と相手が不安になっているかもしれないということ。過剰な気遣いは不要ですが、誰かに心配をかけている可能性があることは、頭に置いておいてもいいかもしれません。
 反対に、ADHDを相手にLINEのやりとりをしている人は、返信がなくてもさほど気にする必要はありません。返事がある方が珍しいくらいの気構えで、生温い目で見守っていただけたら幸いです。

まとめ
・できるだけ脳を通さずに行動する
・思いついた瞬間に、完璧を捨てて即行動。スタンプ1つでもOK

<第2回に続く>

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