ADHDの深刻な遅刻癖…。言い訳厳禁、開き直るな! 対策し続けよ/すごいADHD特性の使い方

暮らし

公開日:2025/6/2

素晴らしき才能を持つADHDさんへ

「隠された才能」を200%活かしきる。そんなテーマで描かれるのは、ADHDの特性を抱えながらも、ユニークな視点と行動力で日々を乗り越えていく著者のリアルな記録。ときに笑えて、ときにじんわり共感して、「あ、これ私にもあるかも」とそっと背中を押してくれる一冊です。

SNSで多くの支持を集める著者が、試行錯誤の末に見つけた“生きやすくなるための工夫”たち。失敗を笑いに、苦手をアイディアに変えていく、その姿にきっと励まされるはず。

※本記事は『すごいADHD特性の使い方 人生が本当にラクになるコツ』(やしろ あずき/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました

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『すごいADHD特性の使い方 <br>人生が本当にラクになるコツ』<br>
『すごいADHD特性の使い方
人生が本当にラクになるコツ』
(やしろ あずき/KADOKAWA)

 ADHDの遅刻癖は有名です。僕も今までの人生において数々の遅刻をぶちかまし、今ではすっかり謝罪のプロになりました。少し前に、全員ADHDメンバーで旅行に出かけたのですが、待ち合わせ場所には当たり前のように誰1人として現れず。数時間後にやっと全員揃ったと思ったら、免許持ちのメンバーが全員免許を家に忘れて、その日は解散になったというつらい思い出があります。あの旅行は終始ヤバかった……漫画にしているので、興味がある方はぜひご覧ください。

 普通の人からしたら、「何度も注意しているのに、なぜ遅刻するの?」と疑問に思うでしょう。そこでまず、僕が思うADHDの遅刻のメカニズムを解説します。
 まず圧倒的に言えるのが、ADHDは、準備から出かけるまでの時間のかけ方が人とズレているということです。例えば、普通の人と一緒に出かける準備をすると、準備の手間はほぼ同じはずなのに、僕は相手の何倍も時間がかかってしまいます。
 それは、途中の寄り道がハンパないから。
 移動中に読む漫画を選んでいたはずが、気づいたら漫画に没頭している。乗り換え案内アプリを起動させるつもりがネットサーフィンを始めてしまう。洋服を出すついでにクローゼットの整理をし出す。
 無意識にほかの作業に手をつけ、それに没頭してしまう傾向があるのです。
 で、準備が終わった後も大変です。絶対に何かしら忘れてる。
 家を出る瞬間に「ヤバい、あれ忘れた」となり、それを探す作業に入ります。見つけたと思ったら、さっきまで握りしめていたスマホがない。出ようと思って玄関にちょっと置いていたはずの家の鍵がない。いくら入念に出かける準備をしたつもりでも、ADHDの「準備OK」は、新たな闘いの始まりなんです。

 遅刻をしてしまうもう1つの理由は、時間の見積もりが甘いことです。
 ADHDは時間の感覚が独特と言われます。予定管理が苦手だったり、未来のことがうまくイメージできなかったりしますが、時間の見積もりが甘いのもこうした特性の一環だと思われます。例えば、普通の人なら、「11時に待ち合わせだから、10時半に家を出よう。ってことは、9時に起きれば余裕を持って準備できるな」という流れをイメージすることができますよね。ADHDの場合は、「11時に待ち合わせか。ダッシュで行けば15分くらいで着くよな? 準備なんて30分でできるから、うーん、ざっくり10時半起きくらいか?」という感じで、すべて間違ってるんですよね。
 まあこれは、ADHDというより僕の脳の問題かもしれません。

 遅刻の対策法は、調べるといろいろてきます。前日に準備をしておく、作業を区切ってアラームを設定する、持ち物リストをつくる……などなど。でも正直なところ、面倒くさがりのADHDはどれも続かないでしょう。現に僕がそうでした。
 しかしご安心ください。こんな僕でも簡単に実践でき、爆発的に効果があった遅刻防止策をご紹介します。

 待ち合わせ時間の1〜2時間前に到着し、飯を食う。これです。
 おそらく多くのADHDは、待ち合わせ時間ちょうどに到着するという芸当が苦手なんじゃないかと思います。いつだって、0か100。遅刻するか、稀に準備しすぎて早く着きすぎるかの二択です。後者の部分を利用して、待ち合わせ以外の目的をつくり、あえてめちゃくちゃ早く着くように設定するんです。
 僕は食べることが好きなので、事前に現地の名店を調べて、気になるお店に行くようにしています。別に飲食店じゃなくても、面白そうなカフェや洋服屋、行ってみたい公園など、興味のアンテナに引っかかるもので構いません。でもちゃんと、それをルール化すること。これならモチベーションも上がるし、ワクワクした気持ちで遅刻を防止できます。

 直接の解決方法にはなりませんが、他者の手を借りる手もあります。例えば、僕は一時期、よく会う人たちとGPSでお互いの位置情報を共有していました。だからといって遅刻は減りませんでしたが、相手は「うわ、時間なのにやしろまだ家にいるわ。今日は帰ろ」となり、無駄な労力を減らせます(ストレスは増えます)。でもこれは結局、本当にヤバいときには位置情報をオフにするという最悪の逃げ道がつくれてしまうので、あまりおススメはしません。
 また、相手に電話やLINEなどでリマインドしてもらう手もありますが、結局甘えて遅刻するという悪循環を招くことにもなりかねません。
 いろいろ試した結果、「めちゃくちゃ早く着いて好きなことをする」が一番効果があり、楽しく取り組めるという結論に至りました。

 いろいろと言いましたが、結局のところ、「最後まで言い訳しない」「遅刻を開き直らない。対策を諦めない」が一番大事だと思います。遅刻については、本当に人間関係と信頼関係に関わるので……。

まとめ
・「待ち合わせ時間の1〜2時間前に到着し、飯を食う」は効果的
・最後まで言い訳しない。遅刻を開き直らない。対策を諦めない

<第5回に続く>

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