裁判が嫌すぎて逃亡…慰謝料2000万を支払う羽目に!? ADHD特有の「逃げグセ」/すごいADHD特性の使い方

暮らし

公開日:2025/6/3

素晴らしき才能を持つADHDさんへ

「隠された才能」を200%活かしきる。そんなテーマで描かれるのは、ADHDの特性を抱えながらも、ユニークな視点と行動力で日々を乗り越えていく著者のリアルな記録。ときに笑えて、ときにじんわり共感して、「あ、これ私にもあるかも」とそっと背中を押してくれる一冊です。

SNSで多くの支持を集める著者が、試行錯誤の末に見つけた“生きやすくなるための工夫”たち。失敗を笑いに、苦手をアイディアに変えていく、その姿にきっと励まされるはず。

※本記事は『すごいADHD特性の使い方 人生が本当にラクになるコツ』(やしろ あずき/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました

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『すごいADHD特性の使い方 <br>人生が本当にラクになるコツ』<br>
『すごいADHD特性の使い方
人生が本当にラクになるコツ』
(やしろ あずき/KADOKAWA)

 僕はバツイチです。バリバリの離婚経験者です。
 前妻と離婚する際に、慰謝料でモメて裁判をするハメになったのですが、出廷するのがイヤすぎて、裁判を全部欠席しました。
 もうね、ムリでした。

 どうしても気が進まなくて、毎回行かずに家で漫画を読んでいたら、弁護士さんから「やしろさん! 今どこにいるんですか!」って電話がかかってくるんです。
「適当にやっておいてください!」ってお願いしたら、しばらくして「2000万円いかれました! すんません!」って報告を受けました。
 裁判がイヤすぎて家から出なかった結果、慰謝料2000万円を支払うことになったという、ウソのようなホントの話です。

 これ、ADHD特性の「逃げグセ」です。
 イヤなこと、気が進まないことからどうしても逃げてしまう。
 僕の離婚話はちょっと極端な例かもしれませんが、「遅刻の連絡をしておかないと相手が困る→ダルくてできない→約束自体をドタキャンする」とか、「仕事のミスを上司に報告しないとヤバい→怖くてできない→もっと大ごとになる」なんてケースは、結構あるあるなんじゃないでしょうか。

 普通の人であれば、「イヤだけど、やらないと後でもっと面倒なことになる」というロジックが働いて、目の前のタスクをこなそうとするでしょう。
 ADHDの場合、「やらないと後でもっと面倒なことになるのはわかるけど、ムリすぎる」という感情が働いて、「逃げる」という選択肢を取ることが多いです。
 他の特性にも共通して言えることですが、ADHDは刹那的です。
 長期的な思考が苦手で、今、この瞬間の感情に抗えません。
 恐ろしい未来が待っていたとしても、今のしんどさを回避したい。そういう思考回路なのです。

 じゃあ、どうすればいいか?
 結論から言えば、僕は、逃げることは決して悪手ではないと思っています。
 といっても、常に「逃げればいいや」というスタンスでいるんじゃなくて、頭の中に「逃げる」という選択肢を用意しておくということです。
 ドラクエでも、敵と会ったら「闘う」「守る」「逃げる」というコマンドが登場しますよね。日常生活においても、何かトラブルと遭遇したら、このコマンドのイメージを頭に描くことが重要なんです。

 世の中では未だに、「逃げる=悪」という考えが主流です。
 責任感が強いとされる日本人のコミュニティの中ではなおのこと、逃げるヤツは「忍耐力がない」と切り捨てられてしまいます。
 でも、本当にそうでしょうか?

 僕はもっと、社会が逃げることに寛容であってもいいと思う。
 本当にムリだと思ったら、闘う必要はありません。
 だって、ムリなものはムリだし。
 ちなみに、僕は今までの人生において、めちゃくちゃいろんなことから逃げてきました。この辺りは『人生から「逃げる」コマンドを封印している人へ』(ダイヤモンド社)に詳しく書きましたので、気になる方はぜひご一読ください。

 でも、これが重要なこと。
 逃げてもいいけど、逃げグセをつけるのはよくない。
 ポイントはあくまで、コマンドに「逃げる」という選択肢を表示させて、「自分は闘うこともできるし、逃げることもできる」という可能性を認知することなんです。
 ドラクエで常に「逃げる」を選び続ければ、経験値がたまることは一生ありません。リアルの世界なら、周囲から人がいなくなり、コミュニティでも居場所がなくなってしまうでしょう。
 一方で、「逃げる」ことができるとわかれば、「闘ってみてもいいか」と思えるかもしれない。
 そんな可能性の幅を持たせるという意味で、「逃げるのもアリ」という意識を持つことが大切なのです。

 それともう1つ。逃げるなら必ず、その先の責任を背負わなければいけないということです。
 当然、逃げることにはリスクが伴います。誰かを超絶怒らせたり、信用を絶望的に失ったり、自分にとってはマイナスな未来が待っている可能性が高いです。
 その未来をリアルに想像し、受け止める覚悟があるなら、オーケー。今すぐ逃げてよし。その覚悟がないのなら、逃げる以外の行動を起こしましょう。

 僕は今までこのマインドで生きてきたので、逃げてきたことに対しては全く後悔をしていません。
 ……というのはウソで、離婚裁判の件は、1回くらい出廷すればよかったかも、とちょっと反省しましたね。さすがに。

まとめ
・逃げてもいいけど、逃げグセをつけるのはよくない
・逃げるなら必ず、その先の責任を背負わなければいけない

<続きは本書でお楽しみください>

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