仕事でネガティブな感情にとらわれるのは「メタ認知」できていないから? 非認知能力を身につけ、ビジネスに活かす方法【書評】

ビジネス

PR 公開日:2025/5/13

サクッとわかる ビジネス教養 非認知能力
サクッとわかる ビジネス教養 非認知能力中山芳一:監修/新星出版社

 勉強ができても、学歴が高くても、ビジネスの世界で通用するとは限らない。多くのビジネスマンにはそんな実感があるのではないだろうか。ランクの高い大学を卒業していても成果が出せない人がいる一方で、学歴がそんなに高くなくても成果を出し続けている人もいる。その差はどこからくるのだろうか。

 その差には、おそらく「非認知能力」が関係している。「非認知能力」は、テストの点やIQなどでは評価できない「目に見えない力」のこと。ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授が研究・提唱したこの能力は、今、世界が注目する能力である。そんな力をビジネスマンになってからも伸ばすことはできないものか。大人になった今から「非認知能力」を伸ばしたいという人にオススメなのが『サクッとわかる ビジネス教養 非認知能力』(中山芳一:監修/新星出版社)。

 ベストセラー「サクッとわかる ビジネス教養」シリーズの中の1冊であるこの本を読めば、非認知能力とは何か、なぜこれほどまでに注目されているのか、実際にどうやって伸ばすことができるのかといった内容がサクッとわかる。全ページフルカラーで、忙しいビジネスマンでも読みやすい。大きなイラストが多用されている解説は、「非認知能力」の基本の基本からわかりやすく教えてくれるから、知識が何もない人でも一目でスッと頭に入ってくる。

advertisement

 この本の良いところは、他人事でなく、自分の頭で考えながら、読み進められることだ。本書はQ&Aをベースに「非認知能力」について解説していくのだが、たとえば「非認知能力ってなに?」というページでは、イラストで描かれた、仕事ができる人、できない人の例を元に、その違いについて考えていく。――なるほど、こうやって見てみると、仕事ができる人・できない人の差は、仕事への意欲や忍耐力、まわりの人との協調性といった「気持ちや感情にかかわる力」にあることがわかる。

「非認知能力」は、意欲や自信、柔軟性などの「自分を高める力」、自制心や忍耐力などの「自分と向き合う力」、コミュニケーション力や共感性などの「他者とつながる力」という大きく3つに分類できるという。さらに、Q&Aで「非認知能力」について深掘りしていけば、頭に浮かんだ疑問はどんどん解消されていく。「非認知能力と認知能力の関係性は?」「非認知能力は何歳からでも伸びる?」……。本書によれば、非認知能力は何歳からでも伸ばすことができ、特に、「自分と向き合う力」「他者とつながる力」は大人でも意識して行動に移すことで伸ばしやすいそうだ。

 そして、本書では、「非認知能力」の伸ばし方についても多くのページを割いている。「非認知能力」を身につけるために一番大切なのは「自分を知ること」。「自分のことは自分が一番よく知っている」と思うかもしれないが、改めてこの本に掲載された方法で自己分析をしてみると、今まで自分は自分のことをぼんやりとしか理解できていなかったことに気づかされた。自分の気質や特性、軸がこんなにも言語化できたのは初めてではないか。自己分析ができた後は、自分自身を俯瞰し、その行動を調整する「メタ認知」をする。自分を見直して、次にどんな行動をすればいいのかを考え、それを習慣化していく。この本では、その一連の流れを詳しく解説している。実践すればするほど、自分の行動がどんどん変わっていくことを実感したのは、きっと私だけではないはずだ。

 自分に「非認知能力」が身についてきたら、次は周囲の人の「非認知能力」も高めてしまおう。この本では、非認知能力を伸ばす働きかけについても書かれているからありがたい。しかも、同僚や部下だけでなく、子どもについても、それぞれの関わり方が書かれているから、仕事でも家庭でも参考になりそうだ。あらゆるものが目まぐるしく変わるVUCA(不確実な状態)の時代をどう生きるか。AIとどうやって共存していくか。その鍵となるのは、間違いなく「非認知能力」。変化を恐れず、常に学び、成長していく必要がある。この1冊で「非認知能力」を伸ばしていけるだろう。

文=アサトーミナミ

◆新星出版社のライフマガジン『Fun-life!』
https://fun-life-shinsei.com/

あわせて読みたい