糖尿病専門医が教える、無理なくやせる食べ方とは?“血糖値スパイク”を防ぎながらダイエットする方法とレシピを紹介【書評】
PR 公開日:2025/5/20

体重を落とすダイエットの基本中の基本は、「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を作ることだ。適度に運動をして、適度な範囲で食事量を抑えれば良いのだが、運動を習慣化できない人はやはり多い。また、炭水化物の完全カットを目指したりと無理なダイエットに励んでしまう人もいるだろう。
そんなダイエットに失敗して“ダイエット迷子”になっている人に読んでほしい本が、『“血糖値”を制して脂肪を落とす!完全無欠のやせる食事ビジュアルBOOK』(薗田憲司/Gakken)だ。
著者は年間4000件以上の外来を担当する糖尿病専門医。本書は放置すると糖尿病の原因となる、血糖値の乱高下が起きる現象=血糖値スパイクを防ぎながらダイエットをする方法を提唱。同時に「無理なくやせる食べ方の基本」やレシピの実例が解説されている。
そのため糖尿病の人や、糖尿病予備軍で血糖値が気になる人はもちろん、「健康的に無理なくダイエットしたい」という人全員に有益な情報が掲載されているのだ。
必要な栄養を摂りつつ、無理なく体重減を目指せるレシピが沢山!
まず本書の食事法の大きな特色は、糖質を完全には抜かないことだ。
近年は「糖質オフ」のダイエットが長らく人気で、厳しい糖質制限をしている人も多いが、厳しい糖質制限は先に述べた「血糖値スパイク」の要因に。そのため「1食あたり白米ご飯100g程度の糖質」をしっかり摂ることを推奨しているのだ。
また、血糖コントロールのために、朝食・昼食・夕食で具体的にどのような食事をとるとよいか、エビデンスをまじえて解説している。
まず、朝食は、空腹状態から血糖値の爆上がりを阻止するため、食物繊維をしっかりとることが重要となる。さらに、たんぱく質を組み合わせることで、血糖にかかわるすい臓の準備運動にもなり、筋肉の分解を防ぐこともできる。

昼食は、一日のうちで最も活動量が多い日中にとるため、基本的には食べたいものを食べてもOK。本書では、ハイカロリーなメニューの上手な食べ方や、サイドメニューを工夫するなどして、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする方法が紹介されている。
夕食は、特に脂質の量を調整することで、脂肪の蓄積を抑える食事法を提案。食後、すぐに血糖値を上げるのは糖質だが、脂質も時間をかけて血糖値に影響するのだ。
このような食事内容をすぐに実践できるよう、手軽なレシピが豊富に紹介されているのが本書のポイント。本稿では、本書に掲載されているレシピ例を実際に作って食べてみながら、この本の読みどころを紹介していく。
納豆、しらす、チーズの全粒粉トースト
掲載されているレシピでまず作ってみたのは、朝食メニューの「納豆、しらす、チーズの全粒粉トースト」。良質な動物性・植物性タンパク質の代表格の卵・納豆を使ったメニューだ。

納豆は食物繊維も摂取できる和の健康最強食。併せて食物繊維が豊富な全粒粉パンや、タンパク質を補えるしらすを使っているのがポイントだ。
なお食物繊維は、糖質や脂質の吸収をおだやかにし、腸の炎症を抑えてインスリン抵抗性を改善する働きも期待される成分。本書のレシピでは食物繊維が豊富な食材が多く使われているのも特徴となっている。

実際に食べてみたが食材の相性が想像以上に良く、納豆とチーズのコクが豊かで実においしい。チーズと納豆のとろみで、食感のパサつき具合が気になりがちな全粒粉パンも飽きずに食べられるのも良いなと感じた。
単なるチーズトーストよりは栄養も食べごたえも格段にアップするので、トースト派のダイエッターには簡単かつ満足感の高いレシピとしてオススメしたい。

さけときのこのさっぱりレンジ蒸し
次に作ってみたのは、夕食メニューの「さけときのこのさっぱりレンジ蒸し」。こちらはきのこ(エリンギ、しめじ)と玉ねぎ、鮭にポン酢をかけてレンチンで調理し、事前に分けて一緒にチンした玉ねぎを味噌汁にも入れてしまう……というお手軽メニューだ。

食べてみると、きのこ・玉ねぎ・鮭という食感も旨みも異なる食材が合わさった主菜は、普通においしい! レンジ調理で油を使っていないにもかかわらず、ポン酢の酸味が効いているので、ご飯もメチャクチャ進む味になっていた。
単なる焼き鮭と比べると、野菜ときのことでボリュームもアップしており、お味噌汁にも玉ねぎが入っているので、満足感は高め。ほぼレンチンでできるダイエットメニューだが、お腹がけっこう満腹になった。

まぐろとめかぶオクラのばくだん丼
もう一つ、夕食メニューの「まぐろとめかぶオクラのばくだん丼」も作ってみた。こちらはいわゆるマグロ丼に、ネバネバ食材のオクラ&めかぶ、さらに海苔を加えたもの。また醤油に少量のごま油を加えて混ぜてかけるのもポイントだ。

食べてみると、やはり普通のマグロ丼と比べて食べごたえが格段にアップ。ネバネバ食材のめかぶ、オクラに含まれる水溶性食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにしてくれるそうだが、食感の豊かさも、複雑な味わいのおいしさもアップしてくれるのが嬉しい。
またお味噌汁は、インスタントのものにお麩を2~3個入れただけだが、たったそれだけの手間でも「大きな具が入っている」という見た目の嬉しさと、食べたときの満足感は大きくなることを実感。ダイエッターのみなさんも、インスタント味噌汁にお麩を足していきましょう!

コンビニ惣菜の「痩せる組み合わせ」の情報も!
そのほか本書ではコンビニ食材を使ったダイエットメニューも紹介されている。実際に食べてみて「これは低カロリーだけど食べごたえも満足感もバッチリだな」と感じたのは、コンビニの海藻サラダと、冷食の海鮮お好み焼きの組み合わせだ。

コンビニの冷凍食品の「海鮮お好み焼き」は、1食(1枚)あたりの糖質が40gほど。脂質も抑えられているのでダイエット中も安心に食べられるメニューとのこと。しかも小麦粉に加えていか、えび、卵が使われているので、一つで「主菜・副菜」の役割を果たし、栄養もしっかり摂ることができる。
なお筆者はセブン-イレブンでお好み焼きを買ったが、冷凍食品でも普通にメチャクチャおいしかった。そして「ダイエット中でもお好み焼きが食べられる!」というのは嬉しいことだろう。

このように、本書の教えと食事メニューを生活に取り入れれば、食事の満足感をほとんど損なうことなく、適度に摂取カロリーを抑えたダイエットメニューを食べ続けることができる。「健康的に無理なく痩せたい」と思っている人はぜひ参考にしてほしい。
調理・文・写真=古澤誠一郎