松丸亮吾「僕も、以前は勉強が嫌いでゲームのほうが好きでした」。勉強から入らず、遊びながら考える力をつける「リドラボ」2周年イベント《レポート》
公開日:2025/5/17
松丸亮吾塾長×藤本徹教授 対談
リドラボの運営やカリキュラム開発を行うのは、松丸さんが代表取締役を務める、東大発のナゾトキクリエイター集団「RIDDLER」。そして、カリキュラムの監修をするのは、教育工学やゲーム学習論などの知見をもとに、東大の教授を務める藤本徹さんです。イベントの後半には、松丸さんと藤本さんの対談が行われました。

まず発表されたのは、リドラボ生が半年に1回受けているというSPECCテストの2年間の実績です。小学3〜6年のスコアの平均では、どの能力も倍近くまで成長。特に伸びが大きいのが〈Create=ひらめき(発想力)〉で、中には200点満点まで到達する生徒が現れ、急きょ、問題数を増やしたといいます。
保護者や講師からは、子どもたちの成長について、次のような声が挙がっているとか。
[保護者の声]
「一度は考える姿勢がついた」
「相手の考えを聞くようになった」
「一人で通えるような主体性がついた」など
[講師から見た生徒の変化]
「積極性」手を挙げない子も挙げるようになった
「自己肯定感」解けても自慢したりせず、人との違いを受け入れる
「協調性」間違った子がいても責めずに応援する、助け舟を出す
「コミュニティ」温かく活発な集団に属することで自然と成長できる
スタートから2年で想像以上の結果を得て、2人も驚きを隠せない様子。松丸さんが藤本さんとの出会いを振り返る場面もありました。「藤本さんと出会ったのはゲームの学習効果を確認するイベント。子どもがゲームを通して難なく計算したり、キャラクターの発言の意図を読み取ったりするのを見て、学習はゲームや楽しい体験を通して自然と身につくんじゃないかとディスカッションしました」(松丸)。
続いて藤本さんも、「今までは、詰め込んで暗記して繰り返すという我慢しながらの学習がメインでしたが、近年は楽しみながら自主的に学ぶうちに何かができるようになり、それが学力として認められるようになってきている。謎解きでついた力が社会で将来活躍する力とつながるという話もあります」と最近変わってきている学校教育についても言及しました。
また、リドラボのベースになっている「考える力を伸ばす」というテーマは、最初に出ていた話だといいます。「子どもの考える力は、本当ならもっと細かく分けることができるんです。でも、それを子どもたちが自分で意識しなければ意味がないので、ポケモンのパラメーターみたいにわかりやすく5〜6項目にまとめました。塾生に聞くと、強みと苦手分野を自分でも理解していて、自己分析につながっているなと感じます」(松丸)。
考える力がこれからの時代を生きる子どもに必要だというのが、2人に共通する想いだとか。「僕が普通に間違えるような問題でも、満点を取った塾生がいます。子どもの思考は大人が驚くほど柔軟で、とんでもなく核心をつく瞬間がある。その瞬間をいかに研ぎ澄ませるかがカリキュラムの重要なポイント。これから予測不可能な時代に突入することを考えると、誰かに教えられたことをそのままアウトプットするような学習はもう通用しないのではないかと。時代が変化しても、自分の頭で情報をちゃんと仕入れ、判断できる。そんな財産になるような考える力を大切にしていきたい」(松丸)。

対談の最後には、保護者に向けたメッセージもありました。
「リドラボでは、その子自身のポテンシャルを伸ばすような学習環境を作れると思います。ご家庭では、遊んでばっかりいないで…という状況になりやすいと思いますが、遊ぶことと学びがつながることもあります。楽しかった経験を違う環境でも試す、ということをしてみていただければ。余裕がなかった毎日をもうちょっと楽しんでみようと思えるように、一緒に力を合わせていきましょう」(藤本)
「僕自身、以前は勉強が嫌いでゲームのほうが好きでした。でも謎解きで頭を使うことの面白さを知り、勉強に気持ちが向いていきました。最初は勉強を押し付けられるのが苦しかった。だから、リドラボでは勉強から入らないことを大切にしています。“これ勉強になるのかな”と心配に思った方もいると思いますが、それは正しい反応で。勉強に近いほど、子どもたちは楽しめないんです。カリキュラムは、クリティカルシンキングのように中身はちゃんと教育的なものですが、外側は可愛らしいイラストにして遊びみたいに楽しくしています。今は勉強に抵抗があるような子も、考えることが楽しくなった上で、勉強に戻してあげられるといいんじゃないかと思います」(松丸)。
リドラボの塾長を務めながら、子育てや学習のリアルに迫り、子ども向けの学習本も多数執筆している松丸さん。5歳から小学校低学年くらいまでの子どもが“自然と頭を使える”新刊『考える力が身につく!パズル絵本 見習いまほう使い ウィズリンのだいぼうけん』(KADOKAWA)にも注目です。
取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳
地頭力を育てるひらめき学習塾「リドラボ」
https://edu.riddler.co.jp/ridlabo/