娘がいじめを受けていることの真偽を確かめるため担任に問い合わせ。すると翌日、担任が報告してきたのは耳を疑う対応だった【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/14

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
娘の様子に違和感を感じ、電話で担任の先生に問い合わせた翌日、先生から電話がかかってくる。自然学校でトラブルになった娘とクラスメイトとの話し合いの場を設けたと言うが、その場で話し合ったことは――。
――話し合いの場面で途中からキャラクターの表情が描かれていませんが、どのような意図があるのでしょうか?
「失望」「絶望」したシーンや、キャラクターが「何も考えたくない」「頭が真っ白になる」「ひどく呆れる」と感じた場面で、表情を消して描いたりすることが多いです。
――「途中で読むのがつらい」といった感想も届いたそうですが、作品を描き続けることへの葛藤はありましたか?
「つらい」という感想が届くたび、「はやく結末を描きたい」「ハルコが元気で笑顔で過ごしている場面を描きたい」「最後まで描き切って結末を見届けてもらいたい」と強く感じていたので、描くのがつらいと思っても、描くのをやめようと思ったことはないように思います。
――もし本作が教育現場で教材のように使われたら、どのように活用してほしいと考えますか?
誰かを大切に想う気持ちや、正義感がいじめにつながることがあるということ。同調圧力や一方向だけでは見えないことがあるということ。また、誰しもが加害者にも被害者にもなる不安定な関係であることなど、教育の現場に携わる方や保護者、そして子どもたちも、この作品を通じてそうした想像力をつけてもらえるきっかけになればいいなと感じます。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。