『薬屋のひとりごと』最新16巻発売! 気になる壬氏との恋の行方は? 流行り病「疱瘡」の恐怖と毒と呪いの事件に猫猫が挑む!【書評】
PR 公開日:2025/7/1

謎と試練に挑む猫猫(マオマオ)がたどり着いた衝撃の事実とは……。
シリーズ累計4000万部突破、TVアニメ第2期も大好評放送中の大ヒット作品『薬屋のひとりごと』(日向夏:著、しのとうこ:イラスト/イマジカインフォス)。薬学・医学に通じる主人公の猫猫が、とある国の宮廷周辺で起こる事件を解決していく物語だ。
その原作小説第16巻「通常版」と「TVアニメ第1期シナリオ集付き限定特装版」が発売された。分厚いシナリオ集はBOX入り豪華仕様で、さらに各脚本家のコメント付きとファン垂涎の品である。本稿ではそんな最新16巻の内容を中心に紹介していく。
※本記事には原作小説のネタバレを含みます。
知識と好奇心が武器!難事件と試練に挑む
元医官だった養父とともに花街で暮らしていた17歳の少女・猫猫は、人さらいにかどわかされて後宮で下女となる。猫猫は、ドライな性格と強い知的好奇心の持ち主(薬や毒への思い入れが強すぎて暴走しかかるのがたまにキズ)。さらに、理不尽さへ立ち向かう勇気もあり、一見華やかだが愛憎と陰謀の渦巻く後宮でタフに生き抜いていく。
彼女はその薬学と医学の知識と頭の切れを買われ、後宮と宮廷の内外で起こる大小さまざまな問題や事件の調査と解決を依頼される。主に彼女をひいきにするのは猫猫を「薬屋」と呼ぶ美しき宦官・壬氏(ジンシ)であった。
本作は、現代の探偵のように事件を解決する猫猫と、壬氏をはじめとした登場人物たちとの人間ドラマも語られていく。
「疱瘡」の恐怖と毒と呪いの真相に猫猫が立ち向かう! 壬氏との関係は?
21歳になった猫猫は宮廷の医官付きの官女である。彼女たちのもとに、地方の医官から文が届く。そこには強い伝染力と高い致死率で恐れられる流行り病「疱瘡」の発生について書かれていた。現実では根絶されている疱瘡こと天然痘だが、この世界では完全な対応方法を解明できておらず、実際に村が一つ消えたことも。被害はさらに拡大する可能性がある恐怖の病であった。
とられた策は、疱瘡が発生した農村を封じて拡大を防ぎつつ、派遣した医官が村人を適切に治療、さらに“疱瘡から快復した経験がある人間”を手伝わせるというものだ。そこで選ばれたのが、猫猫とつながりのあるふたりだった。過去に疱瘡にかかって生き延びた猫猫の後輩・妤(ヨ)。そして、彼女を救ったという、顔半分に疱瘡の痕がある民間の医者・克用(コクヨウ)。
好奇心から、手紙のやりとりをし、都へ戻るたびにふたりと話す猫猫。しかし猫猫は、克用について「飄々としていておおらかな人間に見える」程度にしか知らず……。この克用が16巻で注目のキャラクターだ。彼の秘めた過去が物語の鍵となる。
また、猫猫は壬氏の命で、皇太后の実家で起きた事件の解決を手伝わされる。皇太后の姪にあたる病弱な梔子(ジーズー)が、同じ皇太后の実家から入内した妃に対し、毒を使って呪いをかけようとしていた疑いがあるという。だが、梔子と会った猫猫は、毒を盛られているのが梔子なのではという疑いをもつ。一体誰が、何のために? この事件は女同士が呪い合うようなぞっとする結末を迎える。
毒と呪いのエピソードの後日談の舞台になるのが、変人軍師こと羅漢の家だ。かつて猫猫が近づくことも忌避していた彼女の実家を舞台に、同居恋愛リアリティーショーさながらのドラマが巻き起こるのでぜひ注目してほしい。
恋愛と言えば、16巻では引き続き描かれる恋の行方が二つある。一つは元上級妃・里樹と壬氏のお付・馬閃の純情すぎる関係。もう一つは言わずもがな、猫猫と壬氏である。壬氏は皇弟の立場をかえりみずストレートに猫猫へ迫り、彼女へプロポーズに近いこともしてきた。はたして猫猫はどう応えるのか。2組の恋の行方は進展をみせるのか、ぜひ読んで確かめてみてもらいたい。
文=古林恭