骨付き肉を“酢”で煮るとカルシウムが摂れる?少しの工夫で同じ食材が魔法のように変化。無駄なく美味しく食べ切る「プロの食材術」【書評】

食・料理

公開日:2025/6/28

NHK明日から使える  プロの食材術
NHK明日から使える プロの食材術佐藤秀美:講師/NHK出版

 普段なにげなく使っている食材。使い方ひとつで栄養や美味しさが変わることをご存じだろうか。『NHK明日から使える プロの食材術』(NHK出版)では、さまざまな食材にひと工夫を加え、無駄なく美味しく食べ切る方法を紹介している。手軽に購入できる食材を使って、実際に試してみた。

【食材の特徴を知って“栄養素UP”】

骨付き鶏肉+酢=カルシウム

 1つ目の食材は「骨付き」の鶏肉。物価高が続く今、手頃な価格で買える鶏肉を常備している家庭は多いだろう。しかも、鶏肉は高たんぱくで低脂肪。体の調子を整えるビタミンや、肌のハリを保つコラーゲンも豊富で、さらにうまみ成分が多いという嬉しい食材だ。

 そんな骨付きの鶏肉に酢を加えて煮ると、骨からカルシウムが溶け出し、カルシウムが摂取できるそうだ。カルシウムといえば牛乳や小魚。そればかりでは飽きてしまうから、この食材術はありがたい!

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 同量の酢と水で約20分煮て砂糖としょうゆを加えたら、ほぼ“ほったらかし”で鶏肉の煮込みが完成。酢でさっぱりしていながら、こっくりした鶏肉特有のコクもあり、ご飯が進む。パクパクとおいしそうに食べる家族は、この鶏肉でカルシウムを摂取できているとは思っていないだろう。自分だけの秘密のような気がして「しめしめ…」と思わずにはいられなかった。

【食材の特徴を知って“おいしさUP”】

卵+マヨネーズ=冷めてもおいしい卵焼き

 2つ目の食材は「卵」。鶏肉と同じように、手軽にたんぱく質を摂取できる食材の代表格と言える。なにしろ、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼすべて含まれ、卵1個で1食分に必要なたんぱく質の約1/3を補えるというから、コスパがいいとしかいいようがない。

 作るのは、大人も子供も大好きな卵焼き。お弁当に入れるなら、卵4個に対し、大さじ1のマヨネーズを加えて作ってみて。マヨネーズが卵のたんぱく質が硬くなるのを防ぎ、冷めてもふっくらするそうだ。

 試しに冷めてから食べてみると、本当にふわっふわ。さらに、マヨネーズの風味が加わってまろやかな味わい。私が何も種明かしをしていないのに、わが子が「この卵焼き、冷めても美味しいね」と言ったのは偶然だろうか。子供の舌は敏感なので、少しの工夫で美味しさが倍増するような食材術が他にもあれば、ぜひとも身につけたいと思う。

【食材の特徴を知って“無駄なく使う”】

賞味ギリギリのバナナ+砂糖+レモン汁=バナナジャム

 3つ目の食材は「バナナ」。少し時間が経つと黒くなってきてしまうが、できれば余すことなく使い切りたい。黒ずんだバナナをジュースにする手もあるが、他に選択肢があるのだろうか。

 そのまま食べても美味しいフルーツだが、甘みや酸味、香りを生かして加熱すると新しい味に出会えるらしい。これは、フレンチでよく使われる技だという。今回はバナナ2本にグラニュー糖とレモン汁を加え、電子レンジに入れたら、あっという間にバナナジャムが完成した。

 甘酸っぱいジャムはカフェのようなおいしさ。瓶などに入ったジャムをお店で買うと使いきれないこともあるが、この手作りジャムならレンチンで食べたい量だけ作れるし、熟れすぎたフルーツもおいしく使い切ることができる。

 朝食のパンはもちろん、お酒との相性も抜群だという。チーズと合わせると塩味と甘みがちょうどよく、芳醇な香りが鼻を抜ける。白ワインやドライなスパークリングとよく合いそうだ。

 他にも、かぼちゃをラクに切るような技から、有名焼肉店に聞いたおうち焼肉のコツまで、あらゆる食材術が網羅されている。まさに永久保存版だ。食事を作ること、食べることの楽しみが何倍にも膨らむ工夫やアイデアばかりで、読んでいるだけでもホクホクと嬉しくなった。

調理・写真・文=吉田あき

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