サッカー日本代表・中村敬斗「3歳の自分に声をかけるなら」に意外な回答?選手としてのルーツなどエッセイも充実!初フォトブック『Natural ナチュラル』刊行記念

小説・エッセイ

公開日:2025/7/2

■スリータッチでイメージ通りに「ゴールまでの道筋が見えた」試合

――エッセイでは、半年間の「ベンチ外」生活も過ごしたベルギーの1部リーグのシント=トロイデンに所属していた当時「サッカー人生で一番、ツラい時期だった」と振り返っていました。ただ、悔しさの一方で得たものも大きかったのかと思います。

中村:そうですね。僕の人生にとって、間違いなく一番のターニングポイントでした。試合に出場できなかった経験によって何事にも耐えられるようになったというか、くじけることがなくなりました。当時はチームとしての練習や自主練に力をそそぐしかできなかったんですけど、腐らずに乗り越えられたから今があるし、そこで出会った人たちとは今でも交流があるので「無駄な半年ではなかった。あの頃があるから今がある」と胸を張って言えます。フォトエッセイには、ガンバ大阪時代の苦しかったこと、それを乗り越えたときの気持ちについても書いてあるので、ぜひ読んで欲しいですね。

――その後、オーストリア2部リーグのFCジュニアーズ、同1部リーグのLASKリンツへの移籍を経て、2023年3月には日本代表へ初選出。同年8月のスタッド・ランスへの完全移籍後、同年10月には欧州5大リーグで日本人初となる5試合連続ゴールを決めるなど、ストライカーとしてめざましい活躍をみせています。エッセイでは「サッカーIQ」についても言及されていたのですが、ゴールまでの流れの中で、だいぶ手前の時点で“決められる”と確信できる瞬間もあるのでしょうか?

中村:サッカーをやっていると、誰でも「この流れならば、確実にゴールが入る」と思う瞬間があると思うんです。僕の場合は、簡単なゴールよりも難しいゴールの方が身体が勝手に動きます。ある程度「自分の身体がどう動くか」は頭でイメージしていますし、ボールをもらった時点でゴールまでの道筋が見えるんです。

――たとえば、ハッキリと確信できたのはいつの試合だったんでしょう?

中村:一番うれしかったのは、欧州CLで優勝したパリ・サンジェルマン相手のゴールですね。詳細、そして、そのシュートの瞬間の写真は本で確認してください。また直近では、マルセイユ戦(※)でもゴールを確信できました。本当は足元へのボールが欲しくて、ツータッチでシュートを打とうと思っていたんですけど、実際にはズレたパスが来たんです。ただ、ボールが来る直前に「マイナス方向にフェイクを入れよう」とひらめいて、結果としてスリータッチで、イメージ通りのゴールを決められました。
(※:2025年3月29日に行われたフランス1部リーグのスタッド・ランス対マルセイユ戦。同僚であるママドゥ・ディアコン選手からのパスを受けて先制点を決め、チームは3対1で勝利した)

©️中村敬斗フォトブック『Natural ナチュラル』(撮影/渡辺航滋・双葉社刊)

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