サッカー日本代表・中村敬斗「3歳の自分に声をかけるなら」に意外な回答?選手としてのルーツなどエッセイも充実!初フォトブック『Natural ナチュラル』刊行記念

小説・エッセイ

公開日:2025/7/2

■幼い頃から夢だったワールドカップに向けて「選ばれ続けないといけない」

――エッセイでは、スタッド・ランスと日本代表の双方で力を合わせる伊東純也選手にもふれていました。一節では「純也クン」と親しく呼んでいましたが、中村選手にとって伊東選手はどのような存在ですか?

中村:僕にとっての“アニキ”のような存在です。ピッチの中でも外でもお世話になっていますし、日頃から助けられているので感謝しかありません。試合では、僕はゴールに向かってプレイしますけど、伊東選手は次に繋げやすいクロスを上げてくれるので「そこに向かって走っていけばいい」と思うほど、信頼しているんです。

 いいパスをもらってもゴールを決められないときは「僕のポジショニングがよくなかったんだ」と思いますし、悔しくなります。フォトエッセイには、マルセイユ戦後の伊東選手とのやり取り、一連のショットも掲載されているので、伊東選手のファンの方も必見です(笑)。

――スタッド・ランスでは、2025年1月に新たな日本人選手も加わりました。柏レイソルから完全移籍した、関根大輝選手には、かつて、伊東選手に助けられたのと同様にサポートはされているのでしょうか?

中村:僕が何かをしてあげられるわけではなかったと思います。ただ、彼自身、他のチームメイトとも問題なくコミュニケーションを取っているのは見ていますし、まだ今後のことは一切わかりませんが、クラブでのチームが離れ離れになったとしても、立派にやっていけると感じています。

――翌年6月には「FIFAワールドカップ2026」の開催も控えていますが、日本代表のユニフォームも背負う現在の目標は何でしょうか?

中村:小さい頃からの夢だったワールドカップへの出場ですね。そのためには、クラブでも日本代表でも結果を出して、選ばれ続けないといけないんです。けっして簡単なことではないと分かっていますし、これからも努力を重ねて、ワールドカップのピッチに立てるのなら、日本代表の掲げる「優勝」の目標に向かって少しでも力になりたいです。

――3歳でサッカー人生を歩きはじめた中村選手。最後に、フォトエッセイの終盤では「数年後を楽しみにワクワクしながらやり続けてください」と子どもたちへのメッセージを送っていましたが、今もし、3歳の自分と会えるとしたら何と声をかけますか?

中村:僕だったら、当時の自分には声をかけません。誰かに何か言われてやることは、本当に好きなことなのかという疑問もあるんです。3歳だった当時の自分は、サッカーが好きで好きでたまらなかったし、純粋にその気持ちだけでプレイしていたんです。

 ただ、年齢を重ねるにつれて壁にぶち当たり、プロになってからは「上へ行くためにどうすればいいのか」とより強く考えるようにもなったので、続けていけば見えてくる楽しさもありますし「昨日よりも今日、今日よりも明日」と成長を感じながら、自分が楽しいと思えることに打ち込んでほしいです。

 フォトエッセイには、僕の経験したことではありますが、サッカー少年はもちろん、現在、真剣にスポーツに取り組んでいるお子さんから大人の方まで、成長のヒントとなるエピソードがつまっていると思います。気軽に手に取ってもらえたら、うれしいですね。

©️中村敬斗フォトブック『Natural ナチュラル』(撮影/渡辺航滋・双葉社刊)

取材・文=カネコシュウヘイ、写真=島本絵梨佳

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