自分を信じるものは救われる! ゲン担ぎの効果的なやり方とは?/くよくよしたら手を洗おう。⑦

暮らし

公開日:2025/7/29

 仕事や人間関係などのちょっとした失敗に落ち込んでしまい、なかなか気分がスッキリしないことがありませんか?

 簡単なアクションでパッと気分転換できれば、くよくよしても大丈夫。『くよくよしたら手を洗おう。』では、心理学者・内藤誼人氏が世界最新の心理学研究のエビデンスとともに、簡単な気持ちの切り替え方を指導してくれます。

「石けんで手を洗う」「財布にお札をパンパンに入れる」などすぐできることや、1日の終わりや週末にできるアクション、意識改革術などを紹介。「くよくよするな」と言われても、気がついたらくよくよしちゃうネガティブ体質の人必見! 簡単にできて心が軽くなるライフハック術をお届けします。

※本記事は書籍『くよくよしたら手を洗おう。』(内藤誼人/主婦の友社)から一部抜粋・編集しました。

【30日間無料】Amazonの読み放題をチェック >

『くよくよしたら手を洗おう。』<br>
『くよくよしたら手を洗おう。』
(内藤誼人/主婦の友社)

Trick52 信じるものは救われる。ゲン(験)を担ぐときは「これで絶対うまくいく」と思い込む!

「スリーグッドシングス(今日あったよかったことを3つ書く)」は、ポジティブ心理学の創始者として知られる、マーティン・セリグマンが提唱した代表的な実践法のひとつです。寝る前に、一日のなかでポジティブなできごとだけを3つピックアップして書くことで、うつ症状の緩和や幸福度の向上に効果があるとされています。

 また、セリグマンは、「自分の強み」を日常のさまざまな場面に生かしたり、応用できないかなと考えたりすることも、幸福度のアップに寄与すると報告しています。

 たとえば、「根気よく頑張れるのが自分の持ち味だ」という人なら、その粘り強さを仕事だけでなく、子育てや趣味、対人関係にも応用してみる。そうやって自分の強みを広く生かしていくことで、自己肯定感や自己効力感が高まりやすくなるのです。

 さて、こうしたすでに実証されているテクニックと同じように、「これをやったらうまくいく」と自分で信じている“おまじない”や“ジンクス”にも、前向きな効果があることが心理学研究で示唆されています。

 カナダのヨーク大学のモングランは、ポジティブ心理学の実践が人の幸福度に与える影響を再検証するなかで、「意味づけの力」や「思い込みのポジティブな活用」が気分の改善に貢献しているのではないか、という分析をしています。

 モングランは、参加者に「自分の過去を知るほど、現在の自分をよりよく知れて、結果的に幸せになることが立証されている」と“噓の情報”を与えたうえで、「そのために、1週間毎晩、自分のポジティブな思い出を書いてください」と依頼しました。「これは薬だ」と思えば、砂糖水でも体調がよくなるプラシーボ効果があるように、メンタルにも同じ効果があるのかを調べようとしたわけです。

 結果は、「スリーグッドシングス」や「自分の強みの転用」と同じくらい、幸福度が上がり、抑うつの度合いは減少。思い込みのポジティブな効果が、みごとに実証されました。

 つまり、根拠のない個人的なゲン(験)担ぎも、本人が本気で信じていれば、自己効力感が高まり、パフォーマンスも結果もよくなる可能性がある、というわけです。

「この道を通った日には、いいことが起きる確率が高い気がする」
「このカフェで企画を練ると、いいアイデアが浮かびやすい気がする」

 そんな「気がする」ことがあるなら、もういっそ「絶対に間違いない!」と信じ込みましょう。他人から見たら「そんなはずないじゃん」と笑われるようなことでも、気にすることはありません。信じる力が強ければ、それだけポジティブなプラシーボ効果が働いて、実際に幸せ度が高まるのです。

 よく新興宗教などで、高額すぎる壺やあやしい水晶を「これを買えば幸せになれる」と売り込む手段を耳にします。他人から見ると「だまされている」と感じるかもしれませんが、たとえ法外な値段を払っても、その壺で本人が「幸せになれる」と信じることができるなら、心理学的にはプラシーボ効果のような働きをする可能性もあります。単純な善悪で割り切れない分、周囲にとってはいっそう悩ましい問題になる、とも言えるでしょう。

 私たちは、小さな“意味”や“希望”に、思った以上に大きな力をもらえる生き物なのかもしれません。信じることで心が整い、行動が前向きになり、結果的に物事がうまく運ぶ。そんな信じる力の連鎖は、けっして偶然とは言い切れないのです。

 信じる者は救われる。

 それはただのことわざではなく、心理学的な裏づけもある、れっきとした“科学的な行動方針”でもあるのです。

<第8回に続く>

本作品をAmazon(電子)で読む >

本作品をebookjapanで読む >

本作品をブックライブで読む >

本作品をBOOK☆WALKERで読む >

あわせて読みたい