最低上司はセクハラし放題。新卒女子のメンタルは限界に達するが…。働く女性に届けたい痛快逆転劇『我が社が昭和すぎる件 セクハラ・パワハラ上司に制裁を!』【書評】
公開日:2025/7/23

男尊女卑が当たり前で、セクハラ・パワハラが横行していた昭和的価値観の職場。そんな過去の遺物が、今もなお一部の会社で生き続けているかもしれない。
『我が社が昭和すぎる件 セクハラ・パワハラ上司に制裁を!』(リアコミ:原作、しろいぬしろ:漫画/KADOKAWA)は、そんな現代の職場で起きる、いきすぎたセクハラ・パワハラと、若き主人公・沙耶香の復讐劇を描いた作品だ。
大学を卒業し、地元の会社へ就職した沙耶香。期待と不安を抱えながら、同期のまどか、豪太と共に新社会人としてのスタートを切ることとなる。ところが、オンライン研修に現れた上司・雄田は画面越しに映る沙耶香の部屋を見て一言、「沙耶香ちゃんのベッドピンクなんだぁ」。その言葉を皮切りに、セクハラ行為の数々がスタートする。
出社後、雄田はさらにエスカレート。ボディタッチ、身体のことや生理のことまで聞いてくる。さらには家の場所まで探り出そうとする姿は、読んでいるだけで胃が痛くなるほどの不快感を覚える。
同期のまどかからは、「ふざけてただけじゃない?」と取り合ってもらえず、上司からも相手にされない。そうした孤立と恐怖の中で、「私の感覚がおかしかったんだ…」と、自分を責めてしまう沙耶香の姿が痛々しく描かれる。
女性が働きやすく、経済的・精神的に自立できる世の中へと一歩ずつ進んでいる一方で、古い価値観や身勝手なおじさんたちがまだ存在しているのも事実。この作品は、そうした現実の“嫌悪”を過剰とも言えるほど生々しく描きながら、読者を巻き込み、共感と怒り、そして最後に“スカッと感”へと導いてくれる。
雄田をはじめ、同期や上司たちからセクハラやパワハラを繰り返され、耐え続けていた沙耶香。しかし、ある出来事をきっかけに彼女の中に「復讐」という揺るぎない意志が芽生える。耐えることしかできなかった彼女が、最後に雄田をどう成敗するのか。その結末は、きっと読者を爽快感で満たしてくれるはずだ。
本作は、単なる“パワハラが横行する職場の闇”を描いた作品ではない。一筋の救いと、痛快な報復が待ち受ける、読後感抜群のヒューマンドラマだ。ぜひあなたの目で、その結末を確かめてほしい。