トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/ 第17回「好きな物 アイスコーヒー」

文芸・カルチャー

公開日:2025/7/31

前にも言ったことがありますが、僕はネタを考える時はコンビニのイートインで考えます。僕らのネタを考える場所がソファのあるコワーキングスペースよりなんか合う気がするのでそうしています。イートインで考える時はもちろん何かを買うのが当たり前なのですが、必ず買うのがアイスコーヒーになります。ちなみにこれを考えている今も飲んでいます。
7〜8割方アイスコーヒーと炭酸水を買うのですが炭酸水は麦茶にする時もあるしコーン茶にする時もあります。しかし、アイスコーヒーは100%で買います。
たまに安価な喫茶店で考えることもありますが、そういう時もアイスコーヒーです。
なぜアイスコーヒーを頼むのか。僕はタバコも吸わなければアイスコーヒーの味にこだわりがあるみたいなこともありません。

理由は「好きではないからです。」

味があんまり好きじゃないし、飲んでる後半はなんか少し気持ち悪くなります。
小学1年生の頃に車で家族旅行をしていた時に酔いやすかったのもあり、アイスコーヒーを車内で吐いてしまったこともあります。
ホットコーヒーはいまだにかなり我慢しないと飲めません。

昔はとろろがめちゃくちゃ嫌いでした。小学3年生の時に食べて吐いたことがあるのです。とろろ好きの方には申し訳ないですが、なんか「それ」を食べてるような感じがするからです。
でも僕は恐らくまぁまぁの負けず嫌いなので自分に嫌いなものがあるというのが許せなくて、高校生の時にとろろを頑張って食べて克服しました。今ではなんなら少し好きなくらいです。

カツ丼も一瞬だけ嫌いになりました。
20歳くらいの頃コンビニバイト中にストーブの上に置いたカツ丼を食べたら僕が置いたやつではなく、3日間置いたままになってたカツ丼を食べてしまい、口の中のネバネバ感がハンパなく吐き出しました。その後、自分で買った方のカツ丼も食べれなくなり、無理になってしまいました。でもこのまま日にちを置いたら間違いなくずっと食べれなくなってしまうと思い、次の日に同じカツ丼を買って気合いを入れて食べました。今では克服したので大好きです。

30歳の時にアイスコーヒーも克服しなければと思いチャレンジしました。飲めるようになりました。
しかし、とろろとカツ丼は好きになりましたが、アイスコーヒーは全然好きになりません。今までの物は食べれるようになったらいけたのに。真の嫌いなものだったのかもしれません。
じゃあなぜネタを作る時に飲むのか?

「体を起こすためです。」

アイスコーヒーを飲むと嫌いなのもあってか体がビシャッッとなり、目がパァーッッと開き頭がグァバァーッッとなるのです。青汁を飲んだらアガガァーーッッとなるのはなんとなくわかるかと思います。
そのアガガァーーッッ的なことをして頭を起こして作業をするためなのです。変かもしれません。変かもしれませんが、僕はものすごいグータラなので美味しいものとかを食べたら「うまいもん食べれたしもういいや。」みたいな気持ちになってしまうのです。だから嫌いなものを飲むのは1つの戒め的なことなのです。サボってる自分への。
僕がアイスコーヒーの好きな所は、味は嫌いなんですが、飲むという現象が好きということなのです。

例えば部活とかと一緒なのかも。
練習が好きな人はかなり少ないのではないかと思います。
嫌いだけど本番の日のために練習して練習して練習して良い結果が生まれる。良い結果が生まれることが好きだから、嫌いなことをやるのも結果的に好きなのかなと思います。

ネタを考えることは勉強とは違うので、やったら何か次のステップへいけるわけではありません。1日やっても何も出ずに終わる日はざらにあります。
そんなことがあるので作ってる時が好きな人なんてほとんどいません。でも面白いネタを見せることはみんな好きなので、嫌いなこともしなければいけません。なのでアイスコーヒーを飲んでより嫌いなことを重くして好きなことにたどり着けるようにします。ということは好きなことのためにやっているのでアイスコーヒーも好きということになります。
好きなものをより高めるためには嫌いなものを高めていくのです。

長々と書きましたが要するに嫌いな物も違う角度で好きにできるということです。

よし。ではこれからはネタをよくするために

アイスコーヒーパクチー味を飲みSF映画鑑賞中ドライヤーで髪を乾かし膝の水を抜きながらネタを作ることにします。

<第18回に続く>

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