キューライス作品のすべてが詰まった「キューライス万博」が、松屋銀座で開催中「17歳の時に作ったものをまさか銀座で展示していただけるとは」【内覧会レポート】

文芸・カルチャー

公開日:2025/7/31

 漫画・イラスト・絵本・アニメーションで数々の作品を世に送り出しているアーティスト、キューライスさんの作品展「キューライス万博『Q‑RAIS EXPO』」が、2025年7月23日(水)~8月11日(月・祝)、東京・松屋銀座8階イベントスクエアで開催されている。本記事ではその開催に先立って行われたプレス内覧会およびキューライスさんの記者会見の模様をレポート。かわいらしくも哀愁漂うキャラクターが笑いを誘うキューライス作品の魅力、その根幹に迫る。

 

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「17歳から40歳までのすべてが盛り込まれた作品展」

「今、僕、40歳なんですけども、40歳という節目にこんな大きな作品展をしていただけるなんて本当に嬉しく思っております。この作品展には17歳の時から今までやってきたすべてが盛り込まれています」

 キューライスさんがそう語る通り、この作品展には、キューライスさんのこれまでがギュッと詰めこまれている。まさに、キューライスさんの創作の歴史を感じさせる作品展だ。

 人気キャラクターが勢ぞろいのイラストがキュートな「キューライス万博『Q‑rais EXPO』」の入り口を入ると、そこにはたくさんの原画やラフ、描き下ろしのイラストが展示されている。ラップの切れ目を見失い、納豆パックは底が抜ける、何かと小さな不運に見舞われる残念なネコ『ネコノヒー』(KADOKAWA)。毎日机の上で仕事ばかりの独身漫画家・キューさんの邪魔をする“うざかわいい”ウサギ『スキウサギ』(秋田書店)。見てみると、鉛筆書きのラフはどれも完成版とほとんど修正がないように見えて驚かされるし、原画は、ほんわか色みに温かみがあり、とてつもなくかわいく、「このイラスト、家に飾りたいな」なんて思わされるものも。

 また、日本神話とグルメが融合した異例のダーク・ファンタジー『ヨモツヘグイ』(大和書房)やワケありのお客ばかりがやってくる『バルディッシュ・ホテル』(大和書房)などの長編漫画の原画も、4コマ漫画とは違うスケールの大きさが感じられて面白い。その他、SNSなどを中心に話題を集めた短編作品や、書籍未収録の原稿などが展示されているのも嬉しく、1枚1枚じっくりと眺めているうちにあっという間に時間が経ってしまう。

 そんな展示の合間にひょこっと登場するのが、この作品展の公式キャラクター・マチュー。作品展開催のオファーを受けた際にキューライスさんが思わず発した「キューライス、そこまで人気ないですよ?」という一言から生まれた、ネガティブ思考のキャラクターだ。いつも下を向いていて、弱気。作品展に来た人たちに向けて「家でジブリ見てたほうが楽しいと思う」「どーせ酢豚で言えばパイナップルですよ」「やめたほうがいいのに」などとボヤく姿に思わず「そんなことないよ!」とツッコミを入れたくなる。隅から隅まで、この作品展にはクスッと笑わせる仕掛けが満載。思いがけず、新しい推しキャラクターができてしまった。

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