キューライス作品のすべてが詰まった「キューライス万博」が、松屋銀座で開催中「17歳の時に作ったものをまさか銀座で展示していただけるとは」【内覧会レポート】
公開日:2025/7/31
キューライスさんも太鼓判! 絵本から飛び出してきたような再現度の造形物
「実は、基本的に自分の描いた絵を見るのはすごく恥ずかしくて、展示されている原画は薄目でしか見てないんです(笑)。でも、今回イベント会社さんに作っていただいたミニチュアとか、立体造形物はすごくよくできていました」
そう、本作品展で展示されているのは、原画だけではない。キューライスさんによる総監修のもと、ミニチュアや立体造形物、フォトスポットも展示されているのだ。キューライスさん自身が「よくできている」と太鼓判を押しているのも納得。そのひとつひとつは、実際にキャラクターたちが漫画や絵本の世界から飛び出してきたかのようだ。

なんといっても私のイチオシは、絵本作品のミニチュア。たとえば、『ニンジンジン』(白泉社)のミニチュアは、ニンジンの形をした謎の生き物・ニンジンジンを捕獲しようとするウサギたちの奮闘ぶりと、そんなウサギを華麗にかわすニンジンジンの悠然とした姿が見事に再現されている。また、立派なおひげにオシャレなネクタイをした大親分のドン・ウッサの希望をかなえるために3羽の子分が試行錯誤する『ドン・ウッサ そらをとぶ』(白泉社)の1場面を再現したミニチュアにも、つい頰が緩む。大きなゴムで弾かれたドン・ウッサは空を飛ぶどころか……。キューライス作品の魅力は、キャラクターたちのかわいさだけではなく、こういう哀愁あふれる姿にも感じられる。



加えて、7月に書籍が刊行されたばかりのキューライスさん最新作『絶滅寸前の動物ハッチンパモス』(白泉社)の立体造形物にも注目してほしい。ハッチンパモスとは、些細なことで死んでしまう、愛すべきどんくさい生き物。立体造形物のハッチンパモスは、何やら青い石のネックレスのようなものを身につけて「パモス!」と叫んでいるが、「それってもしかして、例の滅びの呪文!?」「まーた滅んでしまうのか!?」と漫画を思い出してニヤニヤ。思わず写真を撮ってしまった。

