絶対に行ってはいけない心霊スポット。そこへ足を踏み入れる集団が…。超人気YouTube番組「ゾゾゾ」をコミカライズ【書評】
公開日:2025/8/27

蒸し暑い夏の夜。ゾッと背筋が涼しくなるようなホラー漫画『ゾゾゾ変』(ゾゾゾ:原作、タダノなつ:漫画/幻冬舎コミックス)をぜひおすすめしたい。
本作はYouTube総再生回数2億4000万回以上の超人気ホラーエンタテイメント番組「ゾゾゾ」のコミカライズ作品だ。
「ゾゾゾ」は、日本全国の心霊スポットを調査してホラーポータルサイトを作る、という壮大な目標を掲げたホラーエンタテイメント番組。メンバーは発起人の皆口、その上司の落合、スタッフの内田(まーくん)、バーテンダーの長尾(しょうちゃん)だ。ヤバすぎる廃村・T集落、関東最恐の廃ホテル・K、かつての殺人事件の舞台・D神社……。臨時スタッフやゲストも交えながら、彼らは「絶対に行ってはいけない心霊スポット」に次々と足を踏み入れていく。
コミカライズ版では、心霊スポットで起きた怪奇現象や、そこで感じる得体の知れない気配、不穏な音、不自然な静寂など、緊張感あふれる描写がふんだんに盛り込まれている。ページをめくるたびに、肌にまとわりつくような不安と、心臓の鼓動が高まる感覚に襲われる。怖さを引き立てるタッチと、漫画ならではの間の取り方が、映像とはまた違った形で読者をゾクッとさせてくれる。
さらに、ただ怖いだけで終わらないのがこの作品の魅力でもある。
メンバーたちの自然な会話やテンポのよいツッコミが随所に挟まれており、思わず笑ってしまう場面も。メンバー同士の掛け合いは、実際に「ゾゾゾ」の動画を見たことがある人なら「動画の空気感そのまま!」と嬉しくなるだろう。
ホラーとバラエティが融合した絶妙なバランスの空気感は、ファンにとっては嬉しく、初めて「ゾゾゾ」に触れる人にも新鮮な驚きを与えること間違いなしだ。描き下ろし短編はメンバーたちの素顔が垣間見え、より親近感が増す内容となっている。
本作はホラー好きにはもちろん、ホラーに興味はあるけれど怖すぎるのは苦手…という人にもおすすめできるバランスの良い作品だ。怖さと親しみやすさを兼ね備えた新しいホラー体験を届けてくれる『ゾゾゾ変』。夏の夜のちょっとしたスリルにいかがだろうか。
文=ネゴト / fumi
