トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/ 第18回「古着」
公開日:2025/8/31

現在41歳の布川ひろきです。40代ともなるとファッションにあまり興味がなく着れればいいくらいになってきています。その場にあったTPOの服装だけ守れたらいいのかな?なんて思ったりしています。
でも札幌に住んでいた20歳くらいの頃はよく古着を買いに街中に出ていました。古着屋さんのWEGOが札幌に初出店ということに友達と盛り上がってオープンして、すぐに行ったりしました。
バットマンとかタートルズとかX-MENとかアメコミTシャツ探しに色んな古着屋を1日中歩き回ったりもしていました。
上京してからも最初は高円寺とか下北沢とか古着が強い街に行っては知らない古着屋に片っ端から入って服を見倒してました。
しかし、上京して2年くらいたったら全然行かなくなりました。高円寺や下北沢はお笑いライブもあるのでよく行く街なのですが、それでも古着屋には行きませんでした。もちろんお金がないから服を買えないというのもありましたが、お金のことは関係なく行きませんでした。理由は
「僕、本人が汚ったないから」です。
語弊がないように先に言っておきますが、古着が汚いと言ってるわけではありません。味が出てカッコいいとかほんのりくたってるのもまた良いとかあると思います。
僕自身が薄汚いと言っているのです。
何かのライブの時に古着を着ている昔の僕の写真を見せてもらったことがあります。汚かったです。そこまで安くない古着を着ているのですが、とにもかくにも汚かったです。
その写真を見て、古着は汚ったない人が着たら、ただの汚ったない人に見えるのかもな。僕はそっち側なんだな。若かったので悲しみは深かったです。
某世界的有名ブランドで働いてる友達がいまして、自分の服装はどうなのかを聞いてみたことがあります。こう返ってきました。
「布は古着とかパンクっぽい服装が好きなんだと思うけども、残念ながらそっち系が合う人ではないかもしれないね」
あぁそうなのかぁ。俺が今まで着てた服は合う合わないでいったら合わないのかぁ。と、強いダメージを受けました。自分でも汚いと思ってファッション関連の人も思うならそりゃあアウトです。じゃあどういう服なら合うかを聞きました。
「布は恐らく襟がある綺麗なシャツが合うと思うよ」
そんなシャツ1枚も持ってません。襟があるのはくたくたのポロシャツくらいでした。ほんとかなぁと思っていましたが、かなり信頼しているので気持ちが揺れました。
そう言われて何日かたったある日、(確か)「行列のできる法律相談所」を見ていたら唐沢寿明さんが出ていました。唐沢さんのブレイクのきっかけの話になっていて理由を聞くと
「服装を変えたことですかね」
と、話していました。
元々は革ジャンとかちょっとパンクというか不良っぽい服装だったけども、誰かに言われて清潔感のある服を着ていったらドラマの役が決まってそこからブレイクに繋がったということでした。
今の僕とほぼ同じ話でした。唐沢さんは清潔感がないとかではありませんが、その人に合うものがあるということでした。
その後僕は急いでバットマンとかアメコミの気にいってたTシャツを全て捨てて、襟のあるシャツを着るようになりました。ネタの衣装もジーンズとかをはいてましたが、ハマカーン神田さんにいただいた綺麗なグレーのスーツに変えました。そうしたら一応世の中には出させていただけるようになりました。だから今の普段着も衣装もほぼなんの意思もありません。というかわかりません。
ただ、この前歩いていたら路面店にタイニートゥーンのTシャツが売ってました。
「これ良いーー!」
と、思いました。自分にまだ服に対する感情があるんだというのにビックリでした。やはり根っこに古着が好きなんだという気持ちがあるんだと。
一緒にいたオシャレ好きな僕らの作家の川瀬さんに「どうですかねぇ?」と意を決して聞いてみました。いけるなら今すぐ買おう。すると
「まぁ、ねぇ。布ちゃんはどうだろうねぇ。」
まぁ、そういうことですね。
その人にはその人に合うものがあるのです。逆に綺麗なシャツを着たいけど合わないから着れない人もいるはずなのです。
僕はそっと服から手を離しその場から消えました。
今世はもう汚ったなさは拭えないので来世に期待です。なので神様。来世は純潔の象徴である伝説の生き物ユニコーンとして生まれ変わらせて下さい。そうしたらユニコーンの体にアメコミのTシャツを着ますので。
<第19回に続く>