不倫された側が「お金」を払うこともある?日常のトラブルから学ぶ法律の闇【書評】

マンガ

公開日:2025/9/9

 不倫をされた側が「お金」を支払わなければならないことがあるのをご存じだろうか。『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』(弁護士のたぬじろう/KADOKAWA)は、実は知っておかないととんでもない事態になりかねない法律の「落とし穴」を漫画と解説でわかりやすく紹介する一冊だ。

 普段はあまり意識することのない「法律」だが、実は私たちの日常生活に深く関わっている。結婚、離婚、不倫、相続、借金などの契約や家族関係において、不意に法律と向き合わなければならない瞬間がやってくる。本書では、動物たちを主人公にしたストーリーで、法律を知らないと陥りかねない事例をわかりやすく紹介している。

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 多くの人が法律に直面するのが相続のときだろう。自分には相続するような財産はないから関係ない。相続で揉めるような親族はいないから大丈夫だ。そんなふうに思っている人も多いはず。しかし、いざ相続の手続きを始めると、借金が発覚したり、親族からのクレームによってスムーズに進まなかったり……。

 また不倫による慰謝料も法律が関わる問題だ。「私の不倫が原因で離婚する場合、夫からもらえる慰謝料は減りますか?」こんなSNSの投稿を見たら「不倫した側がお金をもらえるわけがない!」と思うかもしれないが、法律的に見ると本当にそうなのだろうか……?

 法律は正しい人の味方だと思われがちだが、実際には限界もある。そうした司法の抜け穴や矛盾も描くことで、より深く法律を知ることができるのが本作の魅力だ。また、くすりと笑える「下ネタ犯罪」を真剣に考えるコーナーも必読である。

 困ったときに使うものと思われがちだが、「困らないために使うもの」でもあるのが法律だ。本作に登場する様々な事例を読むことで、法律は知らないと損をするものだと実感させられる。予防のための知識として多くの人に読んでほしい一冊だ。

文=ネゴト / Ato Hiromi

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