大ヒットゲーム『都市伝説解体センター』ノベライズ&コミカライズは「ファンの手によって磨かれた解釈へのアンサー」【林真理×ハフハフ・おでーん インタビュー】
公開日:2025/9/19
ファンの手で「磨かれた」キャラクター像
――では、人に任せたことで新たに気づいた、作品や各キャラクターの魅力があれば、教えてください。
おでーん:新しい魅力というわけではないのですが、自分たちがゲーム内では描ききれなかった部分を深く描いていただいていると強く感じました。
ゲーム内では、ボリュームの関係でどうしても省いた要素が多かったのですが、ノベライズでは、山田ガスマスクや谷原きのこ、ガイドといったサブキャラクターの人間性や可愛らしさ、そして彼らの背景まで補完してくれていたりして。
特に、ガイドがなぜああいう立ち回りをするのか、といった部分が可視化できたのはすごくよかったですね。あとは、ジャスミンの秘められた母性のような一面も、ゲームでは最低限しか描けなかったところがしっかり描かれていたので、すごくよかったです。
林:僕は、ゲーム発売後、ファンの方たちのおかげでキャラクターが成長し、磨かれたな、と感じていて。みなさんの手によって磨かれたものに対するアンサーとして、今回の小説やコミカライズが生まれてきたのだと思っています。
――「ファンの手で磨かれた」とのことですが、ゲームの発売から今日までファンアートや二次創作が数多く生まれていますよね。ファンの創作で「こういう解釈もあるのか」という新たな発見をした部分はありましたか?
おでーん:松田とポメラニアンの描かれ方は発見でしたね。僕たちの中で松田って、ちょっとガラの悪いオラついたお兄さんだったのですが、ポメラニアン一匹で、こんなに人気が出ていくとは思っていなかったです。
林:僕からすると、めぐあざ(廻屋とあざみ)や、あざジャス(あざみとジャスミン)といった組み合わせは、まさにファンの方が関係性を深掘りしてくださっていますよね。僕たちはゲームの中でそこまで描いているわけではないので、「こういう関係だったらいいな」というファンの皆様の願望を感じていつもありがたい気持ちになっています。
――各作品で同じキャラクターを複数の作家さんが描かれていますが、作家さんによってキャラクターへの印象の違いを感じることはありましたか?
林:ありましたね。特に、あざみやジャスミンは作家さんごとの色が出たなと思っています。それも魅力のひとつなのですが、同じキャラクターでも描き方でこうも変わるんだなと。中でも5名の作家さんに書いていただいた『断篇集』はその違いが如実に表れていたので、とても意味があったと感じます。一人のキャラクターに対して、“カメラの位置”が違うことで描かれ方が変わり、色々なものが見えてくるんだなと実感できたのは嬉しかったです。

――作家さんごとのキャラクターに対する若干の違いは本当に面白かったです。では、サブキャラクターの人間性や可愛らしさ、というお話もありましたが、ゲーム本編では描かれなかったサブキャラクターのオリジナルストーリーを読まれていかがでしたか?
おでーん:僕は結構イメージに近いな、と思って読ませていただきました。山田ガスマスクのオリジナルストーリーなんかは読んでいてちょっと複雑な気持ちになったりもするのですが……(笑)。とはいえ、人間の多様性や多面性を表すにはぴったりなストーリーになっていましたね。
林:山田ガスマスクは、開発チームとして思っていた以上に人気が出たキャラクターだったので、改めて彼の魅力ってこうなんだ、と思えましたね。