「マブダチ最高!」20年来の友人たちとのくだらなくも愛おしい日々。学生時代から今も変わらない絆を描いた友情&青春コミックエッセイ『うちらはマブダチ』【書評】

マンガ

公開日:2025/10/6

 コミックエッセイ『うちらはマブダチ』(やまもとりえ/KADOKAWA)は、著者が学生時代を共に過ごした友人たちとの変わらぬ友情を描いた作品。笑って泣けて、胸がじんわり温かくなる1冊である。

 著者のやまもとりえさんは、美大進学のためひとりで鹿児島から関西へやってきた。当時は人見知りで友達もいなかったが、卓球部メンバーとの出会いをきっかけに大切な仲間を得ることになる。

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 お金はなくても、くだらないことで笑い合った学生生活。社会に出てからの厳しさや日常の困難も、その仲間たちがいるからこそ乗り越えられる。本作には、そんな友情の偉大な力がたっぷりと詰め込まれている。

 登場する卓球部の仲間は、みんな強烈な個性を持っている。クールビューティー、ツンデレ、年中半袖、中身はおっさん……誰もが印象的だ。お互いを「ヘデル・ハデル」とオシャレなあだ名で呼び合っていたふたりのあだ名の由来が、実は「屁出る」「歯出る」だったと知る、なんて思わずズッコケてしまいそうなエピソードも。

 ページをめくるたびにほっこりし、同時に「自分にもこういう時間があったな」と共感できる魅力が満載だ。

 さらに、友人たちとの最初の出会いや、関係が深まった瞬間も丁寧に描かれる。最初は「性格悪そう」と思った相手が生涯の友になったり、悪口を言われていると思ったら実は褒められていて嬉しくなったり。多くの読者が学生時代に経験したであろう、友人関係の機微や心の揺れを丁寧に拾い上げ、友情の尊さを再確認させてくれる。

 平成から令和にかけて20年近く続く友情。卒業や就職、結婚や出産といったライフイベントを経てもその絆は変わらない。現在シーズン3まで刊行されている「うちらはマブダチ」シリーズは、巻を重ねてもそのゆるくて可愛らしいやり取りが豊富に描かれつつ、美大時代の先生との再会など胸に迫るエピソードも綴られる。

 本作を読み終えたら、きっと懐かしい友人たちに会いたくなるだろう。

文=ネゴト / fumi

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