休みたいのに気づけばぐったり。休むのが苦手な人へ上手な気持ちの切り替え方を紹介/ニャンだかラクになる休み方

暮らし

公開日:2025/10/20

はじめに

 休みたくても休めない人って、結構多いのではないでしょうか? 私もそのタイプでした。仕事が忙しかったり、休む時間が勿体なくて常に予定を入れてしまったり、理由は色々ありましたが、気づけばぐったり疲れて、浮かんでくるのは「休みたい」という言葉ばかり…。それでも休めなくて、しっかりと休めたのは、身体を壊したときでした。

 正直なところ、こういうのは「休めた」とは言えません。動けないから「止まった」だけです。「過労死」という言葉もあるように、「止まる」のが命になってしまうこともあります。そういった危機感を持つべきだったと、今では反省しています。だから最近は、忙しくても合間にジムに行ったり、時間を決めてこまめに休息したりと、仕事が一区切りしたときは、まとまった休みも取るようにしています。

 そんな経験からいうと、休むのが下手な人が休むには、何かを始めるときと同じように、「休むぞ!」という覚悟が必要です。そうでないと、いつまでも「明日こそは…、来月こそは…、来年こそは…」と休めない日が続きます。

 チャールズ M・シュルツの「PEANUTS」のコミックで、こんな話があります(一)。屋根の上で寝ているスヌーピーを見て、ルーシーという女の子が、呆れてこう言います。

「またねてるのね」
「どうしてそんなに休息がいるのかわからないわ」

 でも、スヌーピーはそんなときも心の中で、こうつぶやくのです。

「あすがすばらしい日だといけないから、うんと休息するのさ‥」

 こんな考え方もあるのだなと、感心してしまいました。休みたくても休めないときは、こういう気持ちで休んでしまうのもいいと思います。この「あすがすばらしい日だといけないから、うんと休息するのさ‥(I NEED PLENTY OF REST IN CASE TOMORROW IS A GREAT DAY..)」という一節は、スヌーピーの名言の中でも有名で、このコマだけを抜き出したカットをよく名言集で見かけるのですが、この話には続きがあって、オチのコマでスヌーピーは、心の中でこうつぶやいて、また眠るんです。

「多分すばらしい日じゃないだろうけど、
もしそうなら、ボクのほうの用意はいいよ!」

「明日がすばらしい日だといけないからうんと休息しよう」って、まだ元気があるときや、時間に余裕があるときに聞くと、「そうだよね! そのときのために今日は休もう!」と、前を向けるのだけれど、落ち込んでひどく疲れているときに聞くと、「私の明日はすばらしいとは限らないし…」と、ネガティブに考えたり、素直に受け取れないこともあります。でも、「多分すばらしい日じゃないだろうけど」と、「明日がどんな日でも休む」と決めて眠るスヌーピーを見ていると、「明日がどんな日であっても休息はしていいんだ…」と思えます。別に理由なんかなくても、余裕がなくても、休みたいから休むんです。本来はそれでいいのだと思います。

 休みたくても休めない人って、たくさんの「休んではいけない理由」や、「休むことへの抵抗感」を持っていると思います。私もそうでした。会社員時代は有休の日数や周りの顔色が気になったし、フリーになった今も、休んだら終わらない仕事があると、無理をしてしまいます。だからなのですが、休むためには、スヌーピーみたいな、「何があっても休む」という、強い意志や覚悟が必要だと思うんです。「休めたら休もうかな」ではなく、誰に何を言われても、何が起こっても、「絶対に休む!」という覚悟です。飼い犬のスヌーピーと違って、人間は働かなければ食べていけないし、休むことを許さない環境や、休みづらくなるような面倒な人間関係もあります。でも、どんな職場でも、労働者に「休日」を与えるのは法律で決められた義務だし、私のようなフリーの仕事なら、自分でスケジュールを調整して、「休日」を作ることもできます。「休む!」という覚悟さえあれば、休むことはできるんです。冒頭でも書きましたが、休むことを怠ると、止まってしまうこともあります。「休む」か「止まる」の選択なら、「休む」を選んだほうがいいです。人生が物語なら、続きがあるほうがいいに決まっています。

 そんなわけで、この本には、私が休むために考えた方法や、気持ちの切り替え方や、アイディアなどを詰め込んでみました。今、休みたくても休めない人にとって、この本が少しでもお役に立てれば嬉しいです。

(一)チャールズM・シュルツ/作 谷川俊太郎/訳『ついてないとき心が晴れるスヌーピー』祥伝社新書、二〇一二、P一七五

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<第2回に続く>

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