「おでこをトントン」で暴食が抑えられる?科学的に証明された、“人生が変わる”習慣とは?テクニック112個を収録【書評】
公開日:2025/10/7

「新しいことを始めたけれど、けっきょく続かなかった......」と、肩を落とした経験はないだろうか。慣れ親しんだ生活スタイルに、新たな習慣を取り入れることは簡単ではない。なかなか定着せず、途中で諦めてしまうときもあるだろう。もしかすると、続けられなかった理由を「自分の意志が弱いせいだ」「自分に甘いからだ」などと考えるかもしれない。
そんな人に読んでほしいのが、堀田秀吾氏の『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めました』(SBクリエイティブ)である。本書は、心理学や行動経済学、脳科学などの研究にもとづく、多様な分野のテクニックを112個も収録。どれも、脳や心の仕組みを生かした方法のため、気合や忍耐といった精神論に頼るよりも無理なく続けやすい内容となっている。
まず堀田氏は、習慣化は「3つの原理」が大切だと述べている。3つの原理とは、「まず動く」「すでに備わっている習慣にくっつける」「環境を利用する」である。ひとつ目は、行動すると脳の「側坐核(そくざかく)」が働きはじめ、やる気がでる仕組みを活用すること。ふたつ目は、文字通り既存の習慣に新たな行動を足し精神的負担をやわらげる。そして最後は、意図的に環境を整備し、人間の意志決定や行動をより良い方向へ導くこと。この3つを理解すると、脳と体の動きがスムーズになり新しい習慣を取り入れやすくなるのだそう。
そして、気になるテクニックの内容はというと、本書では「仕事の効率化」「勉強」「ダイエット・健康」「コミュニケーション」「メンタル」「生活」と、幅広いテーマの習慣にしたい方法が紹介されている。例えば、「仕事の効率化」に掲載されている「30分以内の昼寝をする」。NASAの研究者たちが飛行機のパイロットに仮眠をとらせたところ、平均26分の睡眠をとったときに、パフォーマンスがもっとも向上する結果となった。向上率は34%を記録したという。加えて、この実験では30分以上寝ると生産性が落ちることもわかっている。長時間の睡眠=生産性が上がる、というわけではないのだ。
筆者も、午後の始業前に26分の昼寝を取り入れてみたところ、心身ともにスッキリとした状態で仕事を始められた。午前中の疲れや昼食後の眠気を引きずることなく、仕事を進められるのは嬉しい。そして、昼寝をしないときより集中力も増したと感じている。実際に、キーボードのタイプミスや文章の誤字脱字が減ったのだ。
この他にも、「ダイエット・健康」の「おでこをトントンする」は、自身の額を指先で30秒トントンすることにより暴食を抑えられる。「メンタル」の「朝起きたら楽しかった記憶を思い出す」は、朝目が覚めたときに自身が「美しいな」「楽しいな」などポジティブに感じた記憶を思い出すと、ストレスが軽減されるとのこと。
このように、本書で紹介されているテクニックの多くは、特別な物や準備も不要なため気軽に始められる。実験や研究データをもとにしており信憑性も高い。112個も収録されているため、きっとあなたの日々をより良くする方法に出会えるだろう。
文=鶴田有紀