木版画家・たけがみたえ氏の絵本「完成まで10年ちかくかかった」 生き物たちの“どきどき”の瞬間をテーマにした理由は?【インタビュー】
公開日:2025/10/10

『どきどきしてる』は、さまざまな生きものたちの「どきどきしてる」瞬間を、力強い木版画と素朴な言葉でつづる絵本です。ページをめくるたびにひろがる迫力の絵には圧倒! 動物たちの「どきどき」を全身で感じられるこの絵本について、著者のたけがみさんにお話を伺いました!

どきどきしてる
作:たけがみ たえ
出版社: 偕成社
出版社からの内容紹介
〈にわとりは どきどきしてる
あさいちばん おおきなこえを だして
どきどきしてる〉
〈さなぎは どきどきしてる
もうすぐ ちょうに なりそう〉
いろいろな生きものたちが、
この世界のいたるところで「どきどき」しています。
〈みんな みんな どきどきしてる
いま このとき このしゅんかん〉
うれしいときも、かなしいときも、
どきどきしてる、生きている。
力強い版画と素朴な言葉でつむぐ、
やさしくて、まっすぐな、生きもの讃歌。
——デビュー前から編集者とやりとりをしていたと伺いました。今回作品ができてみて、いかがですか。
まずはひとこと、うれしい!ですね。声をかけてもらって、10年ちかくかかりましたから(笑)
やりとりをはじめたのは2014年ごろ。当時は木版画家として、個展をメインに活動していました。作品にみじかい文章をつけるようになったころでしたが、絵本の世界のことはぜんぜん知りませんでした。
ジュンク堂書店池袋店の理工書フロアで個展をやらせてもらっていたある日、アルバイトをしていた学童クラブからの帰り道にメールを見たら、偕成社のひとから「絵本に興味ありませんか」って連絡がきていて、「えー!」となって。
それから10年がたって、『どきどきしてる』が刊行できてほんとうにうれしいです。

——たけがみさんの描く力強い木版画に「どきどきしてる」という言葉が加わることで、動物たちの体温や、息づかいまで感じられて、生きている絵本という感じがしました!
そんなふうにおもってもらえたらうれしいです!

自分らしい、しっくりくるテーマはなんだろうって考えていて、ある日おもいついたのが「どきどきしてる」でした。
もともと、いろいろなことに緊張したり、不安を感じたりしてどきどきすることがおおい子どもでした。そんな気持ちを絵本にしようとおもっていたのですが、編集者さんとやりとりしているあいだに、そういうネガティブな「どきどき」のほかにも、ポジティブな「どきどき」もたくさんあるなっていうことに気づいてきて。うれしくてどきどきしたりとか、興奮してどきどきしたりとか、明日が楽しみだなってどきどきしたりとか……。

これだったら、自分らしくもあるし、描きたい絵がたくさんあるなとおもって、このテーマに決めました。