「スーパーで買った食材を除菌シートで何度も拭く」「手洗いがやめられない」強迫性障害の当事者が抱える悩みとは?【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/10/29

 近年、大人になってから、発達障害の診断を受けたという人が増えているという。『家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました』(ネコゼ:著、モンズースー:漫画/KADOKAWA)の著者・ネコゼさんもそのひとりだ。

 本書は、幼いころ家族からネグレクトや精神的虐待を受け、強迫性障害に苦しんできた著者が、大人になってから発達障害と診断された実体験を描いたコミックエッセイ。強迫性障害当事者、発達障害当事者のみならず、家族の呪縛に悩む人からも共感されている1冊だ。

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 ネコゼさんは自身の障害とどのように向き合ってきたのか。そして、自身の過去をどのように捉えているのか。お話を伺った。

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――ネコゼさんが診断を受けた際、長年悩まれてきた強迫性障害は「発達障害の二次障害という可能性がある」と指摘されたそうですね。普段、どのような症状に悩まれているのでしょうか。

ネコゼさん(以下、ネコゼ):私の場合は、特に「不潔恐怖」に悩んでいます。たとえば、買い物でスーパーに行って食料を買ったとすると、それをそのままでは使えません。誰が触ったか分からないから冷蔵庫に入れるのはちょっと嫌で、大丈夫だと分かっているのに、除菌シートで何度も拭いてしまって、やらないとどんどん不安が大きくなってしまいます。自分に対しても「とにかく手洗い」みたいな感じで、手を洗う頻度がかなり多いです。“症状がない時”がないので、なかなか大変です。

――どのように治療されているのでしょうか。

ネコゼ:「認知行動療法」というのがあって、自分の中で「ここまでなら耐えられそう」というハードルを設けて、それに取り組んでいます。たとえば、「不潔だ」と感じた時は、「ここまで拭いたらこれで終わり」というのを決めて、それ以上は拭かないように我慢する。我慢していると、すごく不安が高まってくるんですよ。でも、ある一定のところに達すると、不安は少しずつ下がってくるんです。そうやって少しずつ自分が許容できるところを増やしています。

――同じように強迫性障害に悩む人は少なくないと思います。強迫性障害に悩まれている方々にかけてあげられる言葉があれば教えてください。

ネコゼ:強迫性障害だと自分の症状を隠す人が多いと思うんです。自分でもおかしいことをしているという自覚があるから、悩んで当然です。でも、つらい状況でも、良かったこと・できたことはあるはずです。本当に頑張りすぎなくていいと思います。「障害があっても、これはできる」ということに、目を向けてあげるのがいいと思います。

取材・文=アサトーミナミ

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