「親から自分を切り離して、自分の人生を大事にして」幼少期にネグレクトを受け、放置されてきた当事者の思い【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/3

 近年、大人になってから、発達障害の診断を受けたという人が増えているという。『家族から放置されて発達障害に気づかないまま大人になりました』(ネコゼ:著、モンズースー:漫画/KADOKAWA)の著者・ネコゼさんもそのひとりだ。

 本書は、幼いころ家族からネグレクトや精神的虐待を受け、強迫性障害に苦しんできた著者が、大人になってから発達障害と診断された実体験を描いたコミックエッセイ。強迫性障害当事者、発達障害当事者のみならず、家族の呪縛に悩む人からも共感されている1冊だ。

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 ネコゼさんは自身の障害とどのように向き合ってきたのか。そして、自身の過去をどのように捉えているのか。お話を伺った。

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――本書では幼少期からこれまでのネコゼさんの葛藤が描かれていますが、過去を振り返ることは大変お辛いことだったかと思います。あとがきでも、「苦しくて辛かった記憶が少しずつよみがえると、頻繁に体調を崩してしまいました」と書かれています。それでも、過去を振り返ろうと思った理由、この本を書こうと思った理由を教えてください。

ネコゼさん(以下ネコゼ):大人になってから「発達障害」と診断される人は多いということを知って、私もその一人として、「自分は一体どうやって生きてきたんだっけ」と疑問に思ったんです。改めて思い出してみると、結構ひどい状況だったのだと気づくことができました。自分の経験が誰かの前向きになるキッカケになれば、という思いですね。

――今後の目標を教えてください。

ネコゼ:目標…ではないですが、今は治療に集中する期間にして、ゆっくり療養しようと思っています。

――親との関係に悩んでいるという人は少なくありません。また、ネコゼさんのように、子どもの頃は当たり前で気づかなかったけれど、大人になってからネグレクトを受けていたことに気づいた人もいるかと思います。そんな人たちに、どのような言葉をかけたいですか?

ネコゼ:親のことで自分がどんなに悩んでも、親はそうそう変わりません。長年変わらなかったのだから、どうしようもない。そのように割り切って、親から自分を切り離して、「自分の人生を大事にしてもいいんだよ」と伝えたいです。

取材・文=アサトーミナミ

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