連帯保証人はもはや無価値!?「家賃保証会社が必須」な賃貸物件が多い理由【著者インタビュー】
公開日:2025/10/29

もし部屋の家賃が払えなくなったら、そのときは2つの選択肢しかない——。『出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱』(鶴屋なこみん、原案協力:0207/KADOKAWA)は、部屋の家賃を滞納した人の賃料を立て替え、その立て替え分を督促する家賃保証会社の管理(回収)担当者の仕事を追ったコミックエッセイだ。取り立てに向かうと契約者がご遺体になっていることもあれば、テレビでよく見る芸能人からひどい文句をぶつけられることも…。さまざまな理由で家賃を滞納する人たちのマンガを読んでいると、“一歩間違えれば自分も債務者になるのでは…”という恐怖が頭をかすめる。原案は「カクヨム」で家賃保証会社の実態を告白してきた0207さん。「過酷な業務によるストレスを解消するために書き始めた」という本人に、家賃を管理(回収)する仕事のディープな日常を聞いた。
※書籍発売当時の2023年以前のお話としてうかがっています。
——家賃保証会社って賃貸物件を借りるときによく見かけます。でも蓋を開けてみると、こんなにディープな業務も含まれる仕事だったとは…。
0207さん(以下、0207):家賃保証会社とは、物件を借りるときに保証人の代わりをする会社です。借りる人が家賃を滞納した場合は、その家賃を立て替えます。
立て替えるのが仕事だと思われますけど、そうではなく、入居に必要な「物件を借りる人の支払能力を保証すること」が家賃保証会社の役割だと思っています。
僕も賃貸物件に住んでいて、家賃保証会社と契約していますが、家賃を立て替えてもらったことはないです。じゃあ家賃保証会社の役割を果たしていないかといったら、そうではないですよね。入居できているわけですから。
——以前は、連帯保証人がいない場合に保証会社をつけるイメージでした。最近は保証人がいても、保証会社への加入が必須の賃貸物件が増えているそうですね。
0207:そういう賃貸物件は多いと思います。もう10年くらい前からそんな感じですね。
現実問題、滞納賃料を保証人に請求するのって、面倒だと思うんですよ。
住んでいるのが遠方かもしれないし、「払わない」「払えない」と言われるかもしれませんから。
——0207さんの業務量が書籍に出てきましたが、月に600件を担当し、毎日13件回って50件に電話。壮絶な忙しさで、それだけでもストレスだと思います。
0207:実際には、架電・訪問はそれぞれ集中した方が効率的なので、例えば10月6日は朝から40件訪問。翌日7日は1日かけて300~400件架電・SMS(ショートメッセージサービス)送信……みたいなスケジュールを組むことが多いです。
担当件数600件は、10年くらい前の、まだ少ない頃です。後には1200件くらいになりました。なぜそうなるのかというと、会社の保有契約数は増えていくのに、管理(回収)担当者が辞めるからです。
取材・文=吉田あき
