『パンどろぼう』の作家・柴田ケイコさんのヒット作『ドーナツペンタくん』が赤ちゃん向け絵本になって再登場!【書評】
公開日:2025/11/5

こどもが言葉を覚えはじめる時期って、本当にかわいいですよね。この言葉はもう話せるかも、あの言葉はどうだろう…と、いろいろと試して応援したくなります。そんな時は、絵本といっしょに言葉あそびを楽しんでみませんか?
赤ちゃんが発音しやすいとされる半濁音「ぱぴぷぺぽ」を楽しく紹介!
『ぱ・ぴ・ぷ ペンタくん』(白泉社)は、赤ちゃんが発音しやすいとされる半濁音「ぱぴぷぺぽ」をどうぶつたちが楽しく紹介してくれる絵本です。このペンギン、どこかで見たことが…と思った人は大正解。『パンどろぼう』などで大人気の絵本作家・柴田ケイコさんのヒット作『ドーナツペンタくん』のペンタくんが登場しているんです。文章は、同じく絵本作家の林木林さんが手がけています。

「ぱぴぷぺぽ」を使った言葉は、こどもにもわかりやすいオノマトペで表現されています。5つの文字が紹介されているシチュエーションはそれぞれ異なり、「ぱ」は食べる時に出る音、「ぴ」は外であそぶ時によく聞く音がまとめられている…という具合。日常的なシチュエーションばかりで、こどもは親近感を感じてくれるのではないでしょうか。
「ぺりぺり」「ぺたぺた」…かわいいイラストとともにオノマトペで遊ぶ
「ぺ」のページに登場するのは、工作や絵を描く時に出る音です。紙をちぎる時の「ぺりぺり」や、糊で貼る時の「ぺとぺとぺと」、絵の具を塗る時の「ぺたぺた」など。そうそう、シールを押す時の「ぺったんこ」も「ぺ」からはじまりますよね。普段よく使う言葉なんだけど、「これもそうだった!」と自分では思いつかないようなオノマトペがいくつもありました。バリエーション豊富な言葉をこどもに伝えられるのはうれしいことです。
また、場面ごとにオノマトペがまとまっていることで、「紙は、ぺりぺり、ぺたぺた、という音がするんだな」と場面と言葉を結びつけやすく、こどもの認知が高まりそう。芸術の秋ですし、絵本を読んだ後は、こどもといっしょに工作をしながら「ぺちぺち」「ぺったんこ」とことばあそびを楽しく実践してみるのはいかがでしょうか?

「ぺ」のページで「ぺたぺた」と絵を描いていたペンタくんは、最後に「ねえ なに かいてるか わかる?」という問いかけをしていました。すると、次のページには、自分を描いた絵を持ったペンタくんが見開きにドーンと登場。
こんなふうに、オノマトペの紹介だけではなく、ペンタくんと仲間たちによる小さなお話も描かれているので、言葉が話せるようになったお子さんとは「ペンタくんの絵がかわいいね」など、読みながら会話を楽しめるかもしれませんね。
それに、お話があると、登場するどうぶつたちへの愛着が深まると思いませんか? 愛嬌たっぷりのペンタくんと仲間たちのお話につられて、どんどん言葉に興味を持ってくれそうです。
「はじめての一言」をペンタくんといっしょに
柴田ケイコさんといえば、ちょっと可笑しみのあるキャラクターを描いている絵本作家さん。本書にもペンタくんのユニークな表情がいくつも登場するので、私の小学生の息子はそのたびにクスクスと笑っていました。ペンタくんならではの面白いラストシーンも見ものですよ!
「この言葉をしゃべったのははじめて!」という体験は、一生に一度しか味わえません。本書があれば、そんな宝物のような「はじめての一言」に何度も立ち会えるかもしれませんよ。
文=吉田あき
