実写ドラマ放送中!『修学旅行で仲良くないグループに入りました』スクールカースト上位美形男子×ぼっち男子の執着愛が止まらない青春BL【書評】
公開日:2025/11/8

毎週土曜日深夜1時から実写ドラマ放送中の『修学旅行で仲良くないグループに入りました』(隠木鶉/スターツ出版)。原作は、イマドキ高校生のワイワイを存分に楽しみながら、胸キュンできる青春BL小説だ。
高校2年生の温厚な平凡男子、日置(ひおき)は、進級時に仲の良い友達とクラスが分かれてしまい「ぼっち」状態になってしまっていた。修学旅行のグループ決めの際も、ぼっち確定かと思いきや、なぜかイケメンかつ人気者としてクラスでも目立つ存在のグループに誘われる。
陰キャ寄りの日置は、そんな「陽のかたまり」の面々に気おくれしていたが、みんな個性豊かに気さくで、次第に打ち解けていく。
中でも眉目秀麗な渡会(わたらい)は、コンタクトを無くして困っていた時に手助けしてくれたり、迷子の対応に困っていたところをフォローしてくれたりと、たくさん迷惑をかけてしまっても、優しく接してくれた。しかも時々なんだか距離が近い……? 日置は思わずドキドキしてしまう。
修学旅行も終わり、帰り際。ふたりきりになり、思い出を語りつつ、なんだか甘い空気。これはまさか告白される雰囲気……!? と思いきや、渡会の口から出てきたのは「友達になってほしい」という一言。拍子抜けするも、ぼっちの日置に友達ができたのだが――。どうなるふたりの恋模様!?
さて、本作は王道な要素もありつつ、令和の高校生男子のイマドキ感が新鮮な青春BLである。愛ゆえに「涼しい顔して言動は重い」美形攻めと、「なんやかんや流されてしまう」やや天然の平凡受けの、恋に不器用なやり取りは読んでいてニヤニヤしてしまう。
渡会は日置のことが大好きで、そういった素振りがたまに現れてしまう。けれど隠しきれない独占欲に、渡会の愛の深さが滲み出てしまって、日置はドキドキだし、読者もニヤニヤ超えてニマニマになってしまうこと間違いなしである。比較的ライトな恋愛模様なので、「激しめ」「大人向けすぎる」BLが苦手な方にもオススメだ。
またなんと言っても本作、主役ふたり以外の登場人物も、なんとも可愛らしい。イケメン集団の堀田、守崎、仲里や、日置の部活仲間の辻谷、猪野、水無瀬。彼らの何気ない会話がところどころ展開され、永遠に読めちゃうようなテンポの良さがある。交わされる会話は本当に些細なのだが、クスッと笑えたり、なんとも言えない「高校生男子、かわいすぎ」という味わいがあった。
インスタアカウント持ってる持ってないとか、写真が盛れる盛れないとか、そういう会話も、平成ド真ん中オタク(レビューを書いている筆者)にとっては、「令和の子ってこうなんだ~~~。かわいい~~~~」と妙に感動してしまった。
2025年10月20日に発売されたばかりの第2巻では、渡会の元カノが現われる。そしてまさかの「忘れられない」宣言まで。ふたりのペースで関係を深めている渡会と日置の間に、早速の試練勃発か……!?
キュンキュンとドキドキと、「令和の高校生男子、かわよ」が止まらない本作、青春BL好きにはぜひオススメしたい。
文=雨野裾
