大谷翔平の「時給」は?ユニークな例題がたくさん!数字に苦手意識がある大人におすすめ『数字に強くなる30のトレーニング』【書評】

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PR 公開日:2025/11/5

数字に強くなる30のトレーニング
数字に強くなる30のトレーニング(西岡壱誠、東大カルペ・ディエム/TAC出版)

 目の前にある数字を見るだけで「うわっ…」と、一歩引いてしまう人はたしかにいる。しかし、社会では「数字を扱う場面」が意外と多く、上手く扱えるかどうかで「判断力や説得力、信頼のされ方」が変わってくる。

 そう主張するのは漫画『ドラゴン桜』の脚本監修や編集を担当し、自身も偏差値35からの東大合格を勝ち取った西岡壱誠さんと、西岡さんらによる東大生集団「東大カルペ・ディエム」が著した『数字に強くなる30のトレーニング』(TAC出版)だ。

■消費税も簡単に即計算「10%」は「1.1」倍だと感覚的に身につける

 本書では「暗算する力」「式を立てる力」「置き換える力」「俯瞰する力」「試行錯誤する力」を養うべく、例題、基礎的な考え方、例題の解説、そして、応用を教える一定の流れで進む「30のトレーニング」を収録している。そこでひとつ、例題を紹介しよう。

オフィス用品を買う経理担当のあなた。税抜価格5240円の商品は、税込価格はいくらでしょうか?

 いわゆる消費税の問題で「税込価格はいくら?」と日常で考える場面も多い。例題の商品価格は税抜きで「5240円」のため、10%だから0を消して「524円」を足す。すなわち「5240+524=5764円」だと暗算した人は多いだろう。しかし、毎回「まず10%を計算して、それを足して......」とやるよりも当初から「1.1倍する」と理解していた方が、計算スピードは速くなるという。

 結果は一緒でしょうと思うかもしれないが、ここで重要なのは「1.1倍」の感覚を染み付かせておくことだ。元の数字に足す10%分は「小数点」を十の位と一の位の間に1桁ずらしたものだと感覚的に理解する。例題のケースでは一の位が「0」のために分かりやすいが、一見やっかいそうな他の数字になっているケースであっても「1.1倍」だと覚えておけば「だいたいこのぐらいだろう」と、瞬時に把握する力を養える。

■二刀流で大活躍する大谷翔平選手の気になる「日給」や「時給」は?

 ユニークな例題もある。二刀流で活躍するメジャーリーガーの大谷翔平選手の給料を取り上げた問題だ。まず、問題文を紹介しよう。

2025年度の大谷翔平選手の年収を100億円とします。このとき、大谷選手の月給、日給、時給、分給、秒給をそれぞれ求めましょう。ただし、大谷選手にとっては休息も野球のためであり、24時間365日を休みなく野球に専念しているものと仮定します。

 年収「100億円」となると途方もないスケールだが、月給や日給、時給に換算すると身近な感覚で捉えやすくなる。この問題の解法としては、月、日、時間、分、秒と、スケールの大きなものから小さなものへと変換していくのもポイントとなる。

 まず、1年は12ヶ月のため年収を12で割れば月給が分かる。日給は1年を「365日」と定義しているため、そのまま年収を365で割ればいい。

 時給、分給、秒給は「時給」を基準として段階的に算出するのが効率的だ。まず「24時間365日を休みなく」に注目して「24時間✕365日=8760時間」と計算し、年収を8760で割れば時給が分かる。次に、1時間は60分のため時給を60で割れば分給が分かり、さらに、1分は60秒のため新たに60で割れば秒給を算出できる。

 ちなみに、それぞれ計算して小数点以下を切り捨てると日給は「約2739万7260円」で、時給は「約114万1552円」だ。マウンドやバッターボックスでの活躍からもスーパースターとしてのオーラは十分に伝わるが、数字にしてみると、そのすごさがより伝わってくる。

 こうした例題が多数収録されている『数字に強くなる30のトレーニング』は、問題集ではない。クイズやパズルを解く感覚で読み進められる本書は、いわば数字へのアプローチを学べる一冊であり、学生はもちろん、大人にとってもためになる。いつからか眠っていた算数や数学を勉強していた頃の思い出もたどりながら、読んでみるのがおすすめだ。

文=カネコシュウヘイ

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