介護現場はいつもハチャメチャ! ケアマネ経験をもとに、介護する側・される側のリアルを描く【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/11/17

『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常』は、作者・ケンさんによるケアマネを務めた経験をもとにしたエッセイ作品で、本作はX(旧Twitter)で3.4万「いいね」を獲得し、注目を集めている。

 介護に詳しくない人にも分かりやすく業界の様子が描かれ、施設や自宅でケアを受ける利用者たちとの一筋縄ではいかないやり取りがユーモラスに表現されている。介護の現場で働く人々のリアルな苦労と優しさが垣間見えると同時に、テンポの良い掛け合いを見ているうちにクセになっていく本作。

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 ケンさんに創作のきっかけや作品に込めたメッセージをうかがった。

お祭り騒ぎのような介護現場の雰囲気が伝わってほしい

ーー『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常』を創作したきっかけや理由を教えてください。

 2021年に妻が亡くなり、休職していた期間がありました。家に引き篭っていて特にやることも無かったのでiPadを購入し絵を描き始め、そんな中で自らの職業である「ケアマネ」を題材にして描いたのがきっかけです。

ーー特に気に入っているエピソード、場面を教えてください。

 施設の入居者さんが家族へ写真を送る「伝えてますか、気持ち……」というエピソードです。かつて施設ケアマネ時代に現場の手伝いをすることもあり、入居者さんと写真を撮ってご家族に手紙を送るという活動をしていました。その経験からあのエピソードが生まれてます。

 認知機能の低下からひとりでは手紙も書けない方もいらっしゃいますが、やり方次第で出来ることもあるかな、と感じた次第です。

ーー介護、福祉に関わる方々の共感を呼ぶ作品だと思われますが、本作に対する読者の感想で印象に残っているコメントなどはありますか。

「あるある、こういう人いる」「現場の解像度高い」「これ弊社の事ですよね……」など介護現場の空気感が伝わってるのは嬉しく思います。

ーーご自身の体験をもとに漫画化する中で、新たな発見や気付きなどはありましたか。

 介護業界に20年もいると当たり前に思っていることも、介護未経験の方からすれば異世界のように見えるんだな、と読者の反応から感じることはあります。

 また、今は過去に描いた作品をリメイクしているのですが「よくこんなに描いてたな……」と思うくらいエピソードが多いことに気付かされました(笑)。

ーー本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。

 介護漫画は「認知症入居者が暴れる→職員が頑張る→ハッピーエンド」というフォーマットがよくあるのですが、そこに出てくる職員はアイコン的な介護士で「頑張り屋さん」以外の個性は何も描かれていないんですよね。自分はそこに違和感を覚えています。

 高齢者も介護職もみんな良い人と変な人がごちゃ混ぜになっていて、毎日お祭り騒ぎのような雰囲気なのが今の介護現場だと思ってます。そういうハチャメチャな現状が少しでも伝われば幸いです。

ーー今後の展望や目標をお教えください。

 本にして欲しいと言われるのでいつか形にしたいですね。

ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

 いつも投稿への反応ありがとうございます。これからも無理の無い範囲で長く描いていけるよう頑張ります。

取材・文=ネゴト /

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