岡田准一が主演・プロデューサー・アクションプランナーを務めたNetflixシリーズ「イクサガミ」公式本。岡田自ら撮影した写真集『team』が写す“現場の素顔”【書評】

「奪い合うのです！ その手段は問いません！」文明開化の世を舞台に、命を懸けた戦いが繰り広げられる――。

　Netflixシリーズ「イクサガミ」は、直木賞作家・今村翔吾氏のシリーズ累計58万部を超える人気小説を原作とする、極限の状況で生きる人々を描く時代エンターテインメントだ。権力に翻弄されながらも「生き抜くこと」を懸けて闘う若者たちの姿を、圧倒的なスケールとアクションで描く。主演・プロデューサー・アクションプランナーを岡田准一、監督を藤井道人氏が務め、2025年11月13日よりNetflixで世界独占配信がスタートした。

　配信開始と同時に発売された『Netflixシリーズ イクサガミ Official Book』（講談社）は、作品の世界をより深く堪能できる公式ガイドブックだ。発売形態は、ガイドブック単体の通常版と、ガイドブックに写真集『team』をセットにした函入りの特別版『Netflixシリーズ イクサガミ Official Book SPECIAL EDITION』（同上）の2種類。

豪華キャストによる撮影秘話、制作陣のこだわりがつまったガイドブックと、特別版限定・岡田准一撮影による写真集

　ガイドブックでは、「イクサガミ」の世界を豊富な写真とともに紹介している。岡田准一のインタビューをはじめ、アクションの基盤となる貴重な手書きラフも収録。さらに、藤﨑ゆみあ、清原果耶、東出昌大、玉木宏、伊藤英明らキャストが語る撮影秘話や、制作陣のこだわりなど、読みごたえのある内容となっている。

　そして特別版（SPECIAL EDITION）にのみ収録されているのが、岡田准一撮影による写真集『team』だ。130点を超える写真を収録し、撮影からセレクト、構成、色調に至るまで、すべて岡田自身が携わっている。そこに写っているのは出演者やスタッフ、つまり彼が信頼を寄せる仲間たちの姿である。

　本編では息を呑むアクションが連続するが、カメラがまわっていないところでは笑顔にあふれた現場だったという。長期にわたる撮影を通じてキャスト同士の距離は自然と縮まり、雑談に興じる姿もしばしば見られたそうだ。岡田もまた、プロデューサーやアクションプランナーとして現場を駆け回りながら、ときにその輪に加わり、肩の力を抜いたやりとりで皆を和ませていたという。

岡田だからこそ切り取れた「チームの絆」

　そんな穏やかな空気の背景には、岡田が大切にしてきたチームへの想いがある。インタビューでは、「僕が表に立ってはいますが、「イクサガミ」は多くのスタッフの力によるもの。関わった一人一人が自分の仕事を誇れることがベストだと思っていますし、僕自身もスタッフとして、ものづくりの最高の醍醐味を味わうことができ、とても感謝しています」と語っている。その言葉どおり、彼のレンズが向けられるのは、仲間の姿であり、ものづくりに懸けたチームの誇りそのものだ。

　岡田は15歳の頃からカメラを趣味としており、これまでにも主演映画と連動した写真展や、V6のメンバーを被写体にした写真展「Guys 俺たち」を開催してきた。長年にわたり人の表情や動きを見つめてきたその眼差しは、俳優やアクションプランナーとして培った観察力と重なる。格闘技や武術を通して「人物の感情が動きにどう乗るのか」を大切にしてきた岡田にとって、“撮ること”は自然な延長線上にある表現手段だったのだろう。

　本作では、2年以上にわたりプロデューサーとアクションプランナーとして現場を支え、約半年間主演として挑み続けた岡田。その時間のなかで築かれたチームの絆が、この写真集には息づいている。そこにあるのは、演出されたポーズや構図ではなく、緊張がほどける瞬間、ふと笑い合う眼差し、そして戦いの合間に見せる安堵の表情だ。岡田准一という表現者が、撮る側にまわったことで初めて切り取れた“現場の素顔”といえる。

　写真集の最後には、こう綴られている。

「大変な時の合間でもこんな写真が撮れるなら、勝ったも同然。」

　まさにその1枚こそ、タイトルどおり“team”を象徴する写真だ。厳しい現場のなかにあっても、仲間と共に過ごす時間が確かに存在した証のような瞬間であり、同時に、岡田准一が見つめ、共に歩んだチームの記憶そのものでもある。果たしてその写真とは。ぜひ手に取って、確かめてほしい。

文＝ネゴト / 篠原舞