トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/ 第21回 「トイ・ストーリー」

文芸・カルチャー

公開日:2025/11/30

僕は映画に全く詳しくないです。よく芸人が集まると映画の例えであったり映画のモノマネであったりが行われますが僕は外野で全く入らずにいます。よく

「いや、ショーシャンクか!」

みたいなツッコミがあったりしますが、なんとなくそのシーンは知っていますがちゃんとした前後のことは知りません。

相方のみちおは映画が好きです。映画の仕事もけっこうやらせてもらっています。みちおは映画の仕事の時は1ボケもしません。映画と食レポの時は全くボケないのでその時のみちおは非常に嫌です。

なのでさすがにと思い、映画仕事の時は僕がお笑いなことを発することが多いのですがその時に僕はよく

「僕、『フェイス/オフ』以外見たことないです」

と、言います。

フェイス/オフを知らない方も多いと思いますがとにかく僕はフェイス/オフしか見たことないと言います。実際にフェイス/オフは8回くらい見てますし、映画館にも3回くらい行きましたし、実家の自分の部屋にはドデカイポスターが貼ってあります。だから大好きなのですが本当は

「トイ・ストーリー3も大好きです」

フェイス/オフ1択を信じてた皆さん、夢を壊して申し訳ありません。これを見てくれてる方にだけ教えていますのでお許し下さい。フェイス/オフ発言はコメディとしてとらえて下さい。しかし、ちゃんと理由もあります。

フェイス/オフの次に何が好きかと聞かれたら迷わずトイ・ストーリー3と答えるでしょう。
もちろん1、2も好きです。4もまぁまぁ好きです。5をやる予定と聞いてめちゃくちゃネットをサーフィン(死語)しました。

ディズニーランドに行ったらトイ・ストーリーの打つやつ(バズ・ライトイヤーのアストロブラスター)を3回くらいやったりしてました。そこだけで4時間くらい取られます。マイケルジャクソンのやつ(キャプテンEO)に入りたい気持ちを堪えて4時間待ってました。それくらい好きです。

あまりキーホルダーとかはつけない方ですが、ウッディのキーホルダーをつけていましたし、ウッディのパンツも持っていましたし、寝床にミスター・ポテトヘッドの眼鏡置きもあったりします。それくらい好きです。

好きな理由も恐らく皆さんと変わりなく子供の頃と成長してからのおもちゃへの距離感の違いが好きです。

映画館で見た時もアンディのラストシーンで涙を流す寸前までいきました。それくらい好きです。隣にいる相方のみちおと瓜二つのおじさんが鼻水垂らして大号泣していたので何か止まりましたが。

普通に好きと言ったら良いじゃないかと思う人もいるかもしれませんがフェイス/オフのボケをいちいち訂正する必要なんてありません。

「『フェイス/オフ』しか見たことないです」

「まぁ、ほんとは『トイ・ストーリー』も好きですけどね」

めちゃくちゃいらないです。ただの
「僕は映画をほんとはもっと見てますよ」
というのを知ってもらいたいプライドのために言っていることになります。

前に古舘伊知郎さんが何かの番組で報道ステーションのキャスター時代のことを話していました(僕の記憶違いかもしれないのですが)。なんか難しい話だったのでワードはちゃんと覚えていないので、仮に国連WFPというワードだったとしましょう。

コメンテーター「国連WFPのことです」

古舘さん「国連WFPって世界食糧計画のことですよね?」

コメンテーター「はい。そうです」

こういうやり取りがあったことを
「なんて自分は愚かなんだ」とおっしゃっていました。

実際に国連WFPを知っているのだけど少しでも知ってると思われたくて知っている人の聞き方をしてしまった。国連WFPを知らないような聞き方の方がノイズがなく視聴者と近い目線でやれるから視聴者は話がスッと入ってくるのに。愚かだと。

自分がバカだと思われることを嫌ってしまったということに憤りを感じたということなんだと思います。

このお言葉にすごく感銘を受けました。なので僕のフェイス/オフのくだりはただのボケではなく古舘さんのismでやっている理由のあるウソなのでどうかどうか皆さんお許し下さい。

それにしても初めてこのことを話させてもらいました。言ってしまった罪悪感がありますが、トイ・ストーリーが好きな気持ちは本当なのでなんか清々しい気持ちもあります。
調子に乗ってもう1つ喋っちゃいます。

1年前くらいに「東京駅でおならだと思ってこいたら大きい物が出てしまいましたが、その後そのまま山手線で帰りました」という話をメディアでしたことがあります。実はこれはウソがあり山手線ではなく中央線です。

自分がバカだと思われないために漏らして帰った時のことを捏造してしまいました。
本当に僕は愚かです。

<第22回に続く>

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