「酔いそうなほど濃密な空想世界から残酷でやるせない現実へ繋がる」映画『この本を盗む者は』キャストと原作者が選ぶおすすめの本は?【インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

PR 公開日:2025/12/26

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年1月号からの転載です。

 本好きなら誰もが憧れる、“本の世界を体験できる”小説として大きな話題となり、本屋大賞にもノミネートされた深緑野分さん原作の小説『この本を盗む者は』が、この度待望の映画化。4人のキャストと原作者におすすめの本を聞いてみました。

御倉深冬役 片岡 凜さん
「本でしか表現することができない、本ならではの魅力がたくさん詰まっている一冊です。登場人物の外見などが説明されないまま話が進んでいくのですが、普段どれだけ人間が視覚的な情報に捉われてるかということに気付かされました」

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葉桜の季節に君を想うということ
(歌野晶午/文春文庫)902円(税込)

元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、以前自殺を止めた麻宮さくらと再び出会い……。最後の1文まで驚きが詰まった衝撃のミステリー!

かたおか・りん●2003年、群馬県生まれ。22年、優里のMV『レオ』出演で女優デビュー。同年、『石子と羽男—そんなコトで訴えます?—』でドラマ初出演。その後の出演作に『虎に翼』『海に眠るダイヤモンド』など。

真白役 田牧そらさん
「心の奥にしまいこんだ想いを、言葉でそっとつなぎとめてくれる一冊です。“しょうがない”と諦め、いつの間にか薄れてしまった夢や希望を、あの頃の私とともに呼び戻してくれます」

「リズム」(『リズム/ゴールド・フィッシュ』所収)
(森絵都/角川文庫)748円(税込)

中学1年生のさゆきは、いとこのロック青年・真ちゃんが大好き。家族ぐるみでずっと一緒にいたいのに、真ちゃんの両親の離婚話を聞いてしまい……。「リズム」とその2年後を描いた「ゴールド・フィッシュ」を収録。

たまき・そら●2006年生まれ。11年、ドラマ初出演。最近の出演作に『いつか、無重力の宙(そら)で』『I, KILL』『スカイキャッスル』など。NHK『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』にレギュラー出演中。

御倉ひるね役 東山奈央さん
「子どもたちとの可愛くてぶっとんだリアルな日常! 思わず吹き出してしまったり、涙がじわっとしたり……でこぽん先生の子どもたちを愛しく思う気持ちが伝わってきて幸せな気持ちになります。大好きなマンガです!」

実録 保育士でこ先生』(全6巻)
(でこぽん吾郎/KADOKAWA KITORA)1210〜1265円(税込)

ちょっぴりドジな保育士でこ先生と、個性豊かな子どもたちが繰り広げる保育園での日々。元保育士の著者が愛をこめて描く、あるある満載のコミックエッセイ。新シリーズ『ただいま! 保育士でこ先生』も大人気!

とうやま・なお●東京都生まれ。2010年、声優デビュー。同年、アニメ『神のみぞ知るセカイ』中川かのん役で注目を集める。主な出演作に、アニメ『マクロスΔ』レイナ・プラウラー役など。歌手としても高い人気を得る。

御倉あゆむ役 諏訪部順一さん
「今年上梓しましたワタクシめの本を僭越ながら。育児系雑誌での連載に書き下ろしを加えた、語るような文体の気軽に読めるエッセイ集。テーマ不問で様々書き綴っております」

なんとなく、モノガタル
(諏訪部順一/福音館書店)1210円(税込)

月刊誌『母の友』の連載をまとめた初エッセイ集。子ども時代の思い出、仕事、愛するクルマなどについて語るほか、社会問題やジェンダーに関する章も。諏訪部さんが語りかけてくるような、文章のリズムも心地よい。

すわべ・じゅんいち●東京都生まれ。声優やナレーター、ラジオパーソナリティとして活躍。『テニスの王子様』跡部景吾役、『呪術廻戦』両面宿儺役、『僕のヒーローアカデミア』相澤消太役など多数のアニメに出演。

原作者 深緑野分さん
「酔いそうなほど濃密な空想世界から残酷でやるせない現実へと繋がり、読むほどに深く深く没入し、永遠に忘れられない読書体験になる。すごい物語とはこの作品のようなものを指すのだと思います」

複眼人
(呉 明益:著 小栗山 智:訳/角川文庫)1430円(税込)

太平洋に浮かぶ神話的な島と近未来の台湾。ふたつの島に巨大な「ゴミの島」が押し寄せる時、謎の「複眼人」が姿を現す——。人間と生物、自然と超自然的存在が交錯する世界
を圧倒的スケールと多元的視点で描いた大作。

ふかみどり・のわき●1983年、神奈川県生まれ。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。著書に『戦場のコックたち』『空想の海』など。