人喰い河童の正体を追え。匿名で届いたビデオテープからはじまるコワすぎる真実【書評】

マンガ

公開日:2026/1/14

【ホラー、グロテスクな表現がございます。閲覧にご注意ください。】

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!【人喰い河童伝説】』(羽生生純:漫画、白石晃士・ニューセレクト:原案/KADOKAWA)は、実在のフェイクドキュメンタリー映画シリーズを原作としたコミカライズ第2弾。前作『口裂け女捕獲作戦』に続き、今回も工藤率いる取材班が“人喰い河童”の噂を追う物語だ。

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 匿名で届いたビデオテープには、夜の川辺で撮影された“河童と思われる何か”が映っていた。河童――それは、日本人にとって身近でありながら、どこか不可解な妖怪のひとつである。川や池に棲み、人の足をつかんで水中に引きずり込み、溺死させる恐ろしい存在。古くから人を狂わせ、病をもたらす“禍”として恐れられてきた存在だ。

 現代ではキャラクター化され、どこか愛嬌のある存在として描かれることも多いが、本作の“河童”は、そんな穏やかなイメージを粉々に打ち砕く。人を喰らう異形として描かれ、その不気味な造形や闇に潜む気配の描写が圧倒的だ。羽生生純氏の筆致は、グロテスクさとユーモアの狭間を巧みに行き来し、ページをめくる手を止めさせない魅力がある。

 戦時中から河童の目撃談が絶えないある土地。周辺には、動物のものと思われる“喰い荒らされた死体”が点々と転がっている。ドキュメンタリーのような構成が、静かな恐怖と圧倒的な現実味を生み出し、読者はまるで取材班とともに河童の正体を追っているかのような錯覚に陥る。

 さらに、取材班が禁断の地へ踏み込み、儀式の痕跡や謎の印を発見するくだりは、都市伝説の核心に迫るようなスリルに満ちている。「それは本当に河童なのか?」「真実を隠そうとする鈴木とは何者なのか?」という疑念が膨らみ、読者自身も真実を探る調査員のような気分に陥る。恐怖と好奇心がせめぎ合うその感覚こそ、“コワすぎ!”シリーズの醍醐味だ。

 伝説と現実の境界が溶け合う瞬間、あなたもきっとページの奥から覗く“何か”と目が合うはずだ。静かな狂気がじわじわと広がる、“読むドキュメンタリー・ホラー”の傑作である。

文=ネゴト / すずかん

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