首吊り部屋に潜む黒い影。事故物件住みます芸人が恐怖と共に暮らす実録ホラー漫画【書評】

マンガ

公開日:2026/1/15

【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】 

ボクんち事故物件(6軒目)』(松原タニシ:原案、宮本ぐみ:漫画/竹書房)は、芸人・松原タニシによる“実録ホラー”コミックシリーズの最新作。テレビ番組の企画をきっかけに事故物件生活を始め、今や「事故物件住みます芸人」として知られる松原が、今回も常識外れの暮らしへと足を踏み入れる。

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 本作では、5軒目の契約更新を控えた松原は、後輩芸人の仲嶺さんやライターの村田らむさんと共に新たな事故物件を探すところから物語が始まる。彼らが契約したのは、かつて「首吊り」があったという部屋。間取りはごく普通で、家賃も格安。しかしそこには、説明のつかない“何か”が確かに棲んでいた。

 ふとした瞬間に現れる黒い影。内見後、不動産屋が塩で念入りに清める異様な様子。雑にリフォームされた箇所もあれば、なぜか過剰に綺麗に整えられた部分もある。そのちぐはぐさが、部屋全体の不気味さをさらに際立たせている。

 事故物件と聞けば、誰もが「できれば避けたい場所」と思うだろう。だが松原にとっては、そこが“日常の中の非日常”を体験できる特別な舞台だ。恐怖に怯えつつも、どこか楽しげに語られるエピソードには、ホラーを“研究”するような好奇心とユーモアが同居している。

 松原たちが感じ取る“違和感”の描写には、実際に事故物件に暮らしてきた松原の経験がにじみ出ており、リアルで生々しい説得力がある。何気ない日常の風景に潜む恐怖、そして“見えない何か”と共に暮らす現実感。読者もまた、ページをめくるたびにじわじわと恐怖へ引き込まれていく。

 黒い影の正体は何なのか。そして、“住む”ことでしか見えてこないものとは? 読者は「絶対に自分は住みたくない」と思いながらも、気づけばページをめくる手が止まらなくなる。怖いのに笑える、そしてどこか人間くさい。“事故物件ホラー”の真骨頂が詰まった一冊だ。

文=ネゴト / すずかん

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