映画化が話題の『口に関するアンケート』の原作者が描く、心霊スポットからはじまる恐怖と呪い【書評】

マンガ

公開日:2026/1/18

【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】 

穢れた聖地巡礼について』(桃井ゆづき:著、背筋:原作/KADOKAWA)は、映画化が話題の『近畿地方のある場所について』『口に関するアンケート』の作者・背筋が紡ぐ珠玉のホラーをコミカライズした作品だ。

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 オカルト雑誌の元編集者・小林と、心霊系YouTuberのチャンイケこと池田が、自身の動画に登場した心霊スポットを書籍化するため“追加取材”を行うことから物語がはじまる。2人は、ファンが喜ぶような本にするため、演出目的のヤラセ取材を企てる。だが心霊スポットを調べる中で、次第に予想を超えた不可解な現象に巻き込まれていく。

 物語前半は、ホラー作品とは思えないようなライトな展開からはじまる。テンポの良い会話とともに、心霊現象を信じずに軽い気持ちで企画に乗る池田や企画力冴え渡る小林の様子が描かれる。一体この先どんな恐怖が待っているのかと思っているうちに、池田が以前訪れた「変態小屋」と呼ばれるスポット──無数の写真が並ぶその場所の映像をきっかけに、徐々に不穏な空気が漂いはじめる。。

 作中で語られる数々のエピソードは単なる怪奇現象ではない。そこには嫉妬・憎悪・不安・恐怖といった人間の暗い感情が溜まり、やがて呪いのように形を変えていく。小林の言う通り、一度感じはじめた小さな不安は徐々に輪郭を持ち、誰かを蝕んでいく。読みながら、自分自身の薄暗い感情と向き合い、どこか背筋が冷える思いをする読者もいるかもしれない。単なる怪談ではなく、人間心理の闇を描いた1冊だ。

 様々な事件が語られる中、それぞれの出来事がどう繋がっていくのか。頑なに幽霊や呪いを信じない池田は、一体どんな想いを抱えているのか。その頑なさの裏にある彼の思惑にも、思わず引き込まれる。じわじわと物語を覆っていく恐怖、連鎖していく呪いの感情に、きっとあなたも囚われてしまうだろう。現実味を帯びたこのホラーを、ぜひ手に取って確かめてほしい。

文=ネゴト / fumi

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