メジロに憧れるキジバトがSNSデビュー。日記を通して気づく、日常の尊さと気持ちの変化【書評】
公開日:2026/1/19

日常の小さな出来事を、どれだけ大切にできているだろう。毎日を丁寧に生きること、その日々を愛おしく思うことは、実はとても難しい。『キジバトくん日記(2)』(初丸うげべそ/KADOKAWA)は、そんな日常の尊さを描いた優しい成長の物語だ。
主人公・キジバトくんは、SNSで華やかな日常を発信する鳥たちに憧れている。自分もSNSデビューを目指し、まずは文才を鍛えるために日記を始めることにした。喫茶店でのアルバイト、新しい友達との出会い、そしてSNSへの挑戦。何気ない毎日を記録することで、キジバトくんは少しずつ変わっていく。日記を通じて自分の日々を振り返り、その一つひとつを大切にできるようになったのだ。
本作では登場する鳥たちが繊細に描かれている。一本一本の羽毛まで丁寧に描き込まれ、思わず触れたくなるほどの質感がある。雨粒が羽毛で弾かれる様子、首をかしげる仕草、ふわりと膨らむ胸元。作者の鳥たちへの愛情が感じられ、読者もその魅力を再発見できるだろう。
2巻では、SNSの先輩メジロっちとの関係が深まる。自分に芯を持ち、輝いて見えるメジロっちも、実は悩みを抱えていた。自分の日々を大切にできるようになったキジバトくんは、その小さな心の揺れに気づくことができ、そっと寄り添うのだった。周りに憧れてばかりだったキジバトくんの変化に、心がふっと温かくなる。
鳥たちがまるで人間のように、日常のささいなことに悩み、戸惑いながらも前に進んでいく。趣味がないことに落ち込んだり、ネットで知り合った人たちとのオフ会に人見知り(鳥見知り)しながらも参加してみたり。キジバトくんの姿に「わかる」と思える瞬間が何度も訪れるだろう。
毎日を丁寧に生きること、自分の日々を愛おしく思えること。本作は、そんな当たり前だけれど難しいことを優しく教えてくれる。読み終えたとき、あなたの日常も、きっと愛おしいものに変わっているはずだ。
