声優・金子有希が語る“二刀流で小説を書く理由” 『光る猫爪』Web小説プラットフォーム「ネオページ」独占連載&来春書籍化《インタビュー》

文芸・カルチャー

PR 公開日:2025/12/24

 声優として活躍する金子有希さんが、クラウドファンディングで1400万円を集めドラマCD化されたオリジナル作『光る猫爪』を小説として書き上げ、Web小説プラットフォーム「ネオページ」で独占連載中。2026年春には株式会社ジーオーティーより書籍化も予定されている。

 忙しい声優業の合間に書くことで物語を完結させた金子さんに、創作の原点と書き切るコツ、そして「ネオページで書く/読まれる」ことの面白さを聞いた。

『光る猫爪』はこうして生まれた──短編アイデアから全16話へ

──このたび小説家デビューを果たした金子さんですが、もともと読書はお好きでしたか? これまでの読書遍歴を教えてください。

金子有希さん(以下、金子):子どもの頃は、どちらかというとマンガを読むことが多かったですね。父の本棚にマンガがずらっと並んでいたので、『ジャングルの王者ターちゃん』や『銀牙 -流れ星 銀-』などを読んでいました。

 小説で言うと、大学で文学部総合文芸学科に所属していたこともあって、戯曲のような作品に触れる機会が多かったんです。『ジキル博士とハイド氏』や『人形の家』など、古典的なものが特に好きでした。

──こうした読書体験は、小説を書く際に影響していますか?

金子:洋画からの影響のほうが大きいかもしれないですね。洋画のセリフ回しは素敵だなと思うことが多いですし、小説にも生きていると思います。読んだり観たりして「この言い回し、いいな」と思ったものが、あとから自然に自分の中で残っている感覚があります。

──もともと物語を考えるのが好きだったそうですね。子どもの頃はどんなお話を作っていたんですか?

金子:小さい頃は「なぜ月にウサギがいるのか」みたいな話を考えるのが好きでした。少し成長してからは宇宙を舞台にした物語を考えるのが好きになって。どちらかというと現実よりもファンタジー寄りのほうが発想が湧きやすかったですね。

 今回の『光る猫爪』はファンタジー要素がありつつも、現実寄りの作品で難しいところがありました。だからこそ「現実の手触りがある世界で、特別な力を持つ人たちがどう生きるのか」を丁寧に描きたいと思ったんです。

──『光る猫爪』は、すべての人が特別な力「才能(ネイル)」を持つ世界を舞台に、「なんでも屋 猫ノ爪」の鈴音が依頼をこなす物語です。この着想はどこから生まれたのでしょう。

金子:2019年にクラウドファンディングでドラマCDを企画したんです。当初は宇宙を舞台にした物語を描きたかったんですが、スケールが大きすぎて。そこでドラマCDでは脚本家の方に入っていただいたのですが、短編で温めていた断片をひとつの世界としてうまく繋げていただきました。ただ、尺の問題でどうしてもドラマCDで描き切れなかったところがあったので、ちゃんと物語として完結させたい気持ちがずっと残っていました。小説版では私自身が言葉を紡ぎ、書けていなかった部分も丁寧に追加し、物語を完成させています。

──キャラクターやネイルの設定は、どのように組み立てていったのでしょう?

金子:「複雑な依頼」というエピソードがあるのですが、それがもともと超能力を扱った話だったんです。そのエピソードがきっかけで、「他の話にも少しずつ超能力を入れていこう」と思うようになり、今の「ネイル」の設定につながりました。と言っても、あくまでも物語がメインで、超能力はおまけのような位置づけです。だからこそ、力の“見せ場”より、鈴音たちの感情の動きに寄り添うことを大事にしました。

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