声優・金子有希が語る“二刀流で小説を書く理由” 『光る猫爪』Web小説プラットフォーム「ネオページ」独占連載&来春書籍化《インタビュー》
PR 公開日:2025/12/24
“言わせたいセリフ”から物語が立ち上がる

──ドラマCD版『光る猫爪』は3話構成でしたが、小説はプロローグを含めて全16話あります。長編小説として完結させようと思ったきっかけは?
金子:ドラマCDの企画を立ち上げる前に、もともと小説にする案があったんです。私が原案を書いて、小説家さんに仕上げてもらおうと思っていたのですが、私が書きすぎてしまって(小説家に)「自分が書くのは難しい」と言われてしまって。その企画が小説からドラマCDに方向転換し、脚本家さんにお願いすることになったんですね。
その時、「また書きすぎてはいけない」と思い、流れや要点だけを書いてお渡ししました。でも、時間の制約もあって描き切れなかった部分がとても多くて。だからこそ、きちんと肉付けして物語を完成させたい気持ちが生まれました。ドラマCDを聴いてくださった方にも、あらためて楽しんでいただけるものになったと思います。
──この小説を書いていた時期はコロナ禍とも重なります。創作活動にはどんな影響がありましたか?
金子:コロナ禍ではイベントなども減り、声優の仕事が少なくなった時期もありました。小説を書く時間を取れたのは、よかったですね。ドラマCDからしばらく経っているにもかかわらず、「続きは?」と言ってくださる方がいたのも大きかったです。コスプレイベントでは、(本作の)キャラのコスプレをしてくれる人もいてうれしかったです。「あ、まだ待っていてくれるんだ」と感じ、原動力になりました。
ただ、ドラマCDで終わりだと思っていたので、ストーリーの続きはまったく考えていなくて。イチから考えていきました。
──物語を作る時は、まずプロットを立てるんですか?
金子:一応プロットは考えますが、全体の流れをガチッと決める感じではなくて。1話完結型ですし、その1話の中でキャラクターに言わせたいセリフを先に考えました。セリフを考えてから「このキャラが必要だな」と思って追加していく。そうやって、セリフに向かって物語を進めていく書き方をしています。
ただ、それも作品によって違いますね。宇宙の話のようにスケールの大きいものは、映画のように見せたいシーンを先に考えて物語を作っていくことが多いです。
【編集部注・ネオページで『光る猫爪』を読む】
金子有希さんの小説『光る猫爪』は、Web小説プラットフォーム「ネオページ」で独占連載中。
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無理せず楽しく、書ける時に書く。それが“書き切る”いちばんの近道

──最後まで書き切るまでに、苦労はありましたか?
金子:書けない時は本当に書けないので、書ける時に書きました。
──どういう時が“書ける時”なんでしょうか。
金子:小説を書くのが好きな人って、常に頭の中で物語を考えていると思うんです。なので、楽しいなと感じたり、考えが自然と湧いてきたりした時に書こうと思っていました。
「もう無理だ、出てこない」という時に、「うーん」と唸り出して無理やり書くのは難しいじゃないですか。それに、私はライブのレッスン期間はまったく書かないんです。忙しすぎる時、書けないと思った時は書かない。だから、書けない時には1カ月くらい間が空くこともありました。本業ではないので「この日までに書かなきゃいけない」という締切もないですし、書ける時に自由に書くというスタイルでしたね。
というのも、やっぱり無理やりひねり出した文章って、後から読むとガタガタしてるんですよ。「なんか変だな」「違和感あるな」って自分でも思う。頭の中でスーッと流れてきたものをそのまま書くほうが、うまくいく気がします。
──止まっていた筆が動き出すのは、どんなきっかけからですか?
金子:時間を置いている間に何度か読み返すと、「あ、これでいけるかも」という瞬間があるんですよ。そういう時に一気にダーッと書きました。特に前半は何周も読み返しましたね。
──声優業もある中、どうやって時間をやりくりしているのでしょうか。
金子:電車に乗っている時間って、暇じゃないですか。そういうスキマ時間にアイデアを考えてスマホにメモしていますね。私は思いついたらスマホにまずメモして、原稿はiPadで書いています。早く形にしておかないと忘れちゃいそうで、すぐに書きたくなるんですよね。だから、仕事帰りにご飯のついでにカフェに寄って、ダーッと書いて、食事をしてまた書いて、ある程度書けたら、「今日はこの辺で帰るか」と切り上げる……みたいなことをしています。
──忙しさを言い訳にしてはいけませんね(笑)。
金子:私にとっては、書くことが趣味でもあるので。野球が好きな人が野球観戦する時間に、私は小説を書いているだけなんです。“趣味”と言ってしまうと軽く聞こえますが、夢中になれる、熱中できることは、努力しなくでもやりたくなっちゃうんですよね。
──アイデアはあっても最後まで書き切れない、設定ばかり考えて物語にならないという人もいます。作品を完結させる秘訣や心構えは?
金子:結局は、楽しむことだと思いますね。「文章が下手だな」と思って諦めそうになったら、他の人の文章を読めば少しは近づけるはず。絵も模写から入るように、真似から始めてもいいと思うんです。
私も、今回『光る猫爪』を書くにあたって「小説ってどう書くんだろう」と、いろんな作品をパラパラ読みました。ラノベは主人公のひとり語りが多いので、今回の作品には合わないなと思ったり、逆に「時間経過を書く時はこうすればいいのか」と参考になったり。世の中にはお手本となる小説がたくさんあるので、そういった作品を読むと勉強になります。
──そういえば、『光る猫爪』は一人称ではなく三人称で書かれていますね。
金子:本当は一人称のほうが書きやすいし、感情移入もしやすいのですが、主人公が登場しないエピソードも書きたかったので三人称にしました。書き始めたら「三人称って難しい!」とすごく実感しましたけど(笑)。
──今回はすでに書き上げた作品を、ネオページで分割連載しています。ネオページは読者のコメントや応援、コンテスト、創作アドバイス、編集者のサポートなど、書き手を支える機能が多いですよね。このプラットフォームに対してどんな印象を抱きましたか?
金子:小説を書き始めたいと思っている人に、とてもいい場だと思いました。「よし、やってみよう」という最初の一歩を踏み出す時に、そっと背中を押してくれる存在だなと思います。
途中で保存もできて書きやすいですし、応援チケットやコメント、リプライ、「いいね」などがあって、読者の気持ちが直接届くのがすごく励みになります。実際、ネオページで連載を始めたら、思ったより早い段階で応援やコメントをいただけて、「あ、このサイトの読者さんの中にも私の作品を待ってくれている人がいるんだ」って気づけたのがすごくうれしかったです。反応が見えると、続きを書く力になりますね。書きたいと思った人が一歩踏み出しやすい、そんなプラットフォームだと思います。いただく感想はどれもうれしいので、もっとください!(笑)
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