これ1つで味が決まる! たった10分で仕込めて和洋中すべてに使える万能調味料「無限つゆ」が便利だった【書評】
公開日:2025/12/27

丁寧な暮らしに憧れつつも、毎日なんだかんだやることが山積みでなかなか思うようにいかない。でも、体のためにもお財布のためにもできることなら自炊したい。そういったジレンマに頭を悩ませている人も少なくないはず。
『無限つゆで味が決まるラク速ごはん』(影山みづき/主婦の友社)は、そんな人にこそ試してほしい、1種類で和洋中さまざまな料理の手間を減らしてくれる自家製万能調味料のレシピ本。本書では、料理講師である著者の影山みづきさんが仕事や子育てに追われる中でたどり着いた、「料理のハードルが、ありえないくらい下がった!」と生徒さんにも絶賛された「無限つゆ」の作り方、そしてそれを活かしたレシピがバリエーション豊かに紹介されている。
筆者は料理好きだが、それでも余裕がないと適当な食事が続いてしまうこともある。たまにはそういう日があってもいいと思いつつ、体にいい食生活を送るためのハードルを下げておいて損はない。そこでこの「無限つゆ」を作り、味や手間などを普段と比較してみようと思う。

まずは「無限つゆ」づくり!
まずは、すべての基本となる「無限つゆ」作りから。材料は、醤油、みりん、酒、昆布、鰹節の5つのみ。これはまとめて作るので、作るのはひと月に1~2回でOK。まずは醤油に昆布を漬け込み、昆布のうまみを醤油に移しておく。

続いて、鍋にみりんと酒を煮立たせてアルコールを飛ばし、ここに鰹節と先ほど漬け込んでいた醤油と昆布を加えて煮立たせないくらいの火加減で5~7分煮て火を止める。

あとは粗熱をとり、キッチンペーパーとざるで濾して絞るだけ。

無限つゆは清潔な瓶に移し、冷蔵庫で保管すればOK。使用した鰹節はおかか和えに、昆布は刻んで煮物に加えるなど、無駄が出ない工夫も記されている。ちなみに筆者は、昆布はトースターでカリッと焼いて間食用おやつに、鰹節はごはんと混ぜて冷凍おにぎりにしてみた。こうした副産物が作れるのも、明日以降の自分を助けているようでちょっと誇らしい。
「いなり揚げ」と「きつねうどん」

無限つゆができたら、早速これを活用し「きつねうどん」を作っていく。ちなみにいなり揚げも同じ無限つゆで作ることができる。作り方は簡単で、鍋に無限つゆ、みりん、水、油抜きした油揚げを入れて加熱し、煮汁が少し残るくらいまで煮れば完成。あとは冷ましながら味を含ませるだけ。
いなり揚げができたら、次はうどん。鍋に無限つゆ、水、塩を入れて加熱し、うどんを加えて温めれば出来上がりだ。器に盛り、最後にいなり揚げとねぎを散らす。
雑味のない、それでいて鰹節と昆布の風味がふわっと香る出汁は奥深い味わいで、そこにいなり揚げの出汁がじゅわっと溢れて程よい甘辛さに。無限つゆをフルに活用した、シンプルだからこそよさが伝わってくる一品。市販のいなり揚げを買うとつい余らせてしまいがちだが、こうやって必要に応じてパパッと作ることができれば、使うハードルも一気に下がる。また、筆者は市販品だと甘すぎると感じることも多く、自分好みに調整できるのも大きなメリットだなと感じた。

「甘辛チキン 豆腐タルタル添え」

続いて、甘酢とタルタルソースに無限つゆを使った「甘辛チキン 豆腐タルタル添え」を作ってみた。ポリ袋に塩、砂糖、水、鶏むね肉を入れて冷蔵庫にしばらく置いたら、食べやすく切って片栗粉をまぶしフライパンで揚げ焼きにする。それを無限つゆ、酢、砂糖を混ぜたたれに絡めれば本体は完成。
タルタルは、ポリ袋に水切りした豆腐、ゆで卵、みじん切りにしたらっきょうを入れて揉みながら混ぜ、無限つゆ、酢、砂糖を加えて塩コショウで味を調える。これを甘酢チキンにかけてパセリを散らせば出来上がり!

水切りした豆腐とらっきょうを使うことで水っぽくならず、脂質やカロリーを抑えられるため、たっぷりかけても罪悪感なし! マヨネーズを一切使っていないのにまるでタルタルソースのよう。らっきょうの食感も楽しい。また、甘酢とタルタルに無限つゆを使っていることで、頬張るとふわっと出汁が香る。無限つゆは唐揚げの下味として使うこともできる。
無限つゆの味自体は市販の濃縮麺つゆに近いものがあるが、雑味のないすっきりしつつも深みのある味わいで、自分で作ることで添加物などを心配せず安く安心して使えるという大きなメリットもある。慣れれば味の調整も思いのまま! 出汁を強めに効かせれば塩分カットにもつながる。甘酢チキンの方はうどん等に比べれば若干手間がかかるが、それでもこれだけ少ない調味料でヘルシーかつハイクオリティに仕上がるのは無限つゆの力あってこそ。食べれば、きっと「作ってよかった」「また作ろう」と思うはず。
無限つゆは、和食はもちろん甘酢チキンのような中華にも使えるし、アクアパッツァやカプレーゼなど洋風の料理とも相性がいいらしい。こちらも試してみたい……! 出汁としてはもちろん、下味などの味つけやソース作りにも大活躍してくれる、和洋中すべてに使える無限つゆ。まずは一度、騙されたと思って作ってみてほしい。きっと、その便利さに気づいて常備したくなるはずだ。


調理・写真・文=月乃雫
