かけおち・青木マッチョのエッセイ連載「青木マッチョの三十年史」【第5回】 「青春できる高校/高校時代①」
公開日:2026/1/10

お疲れ様です。
かけおちの青木マッチョと申します。
青木マッチョだなんて大それたことを言ってしまってますが、「マッチョ」の定義ってなんなんですかね。体重なのか? 見た目なのか?
Wikipediaで調べてみたところ、マッチョとは、男性及び男子がもつという「強靱さ、逞しさ、勇敢さ、好戦性、父性性、社会性」といった性質を基礎とした思想や信条、行動、知性、外見等の男らしさを示す言葉……とのことです。
なんか筋肉質なのが全てじゃないっぽいですね、むしろ内面が大事なように見えます。「好戦性」って言葉初めて聞きました。そして、多分自分はマッチョじゃないです。
そんな、戦いを好むようになりたい自分ですが、今回は高校時代の話をさせていただきたいと思います。
高校は地元愛知県のそこそこの進学校に入学しました。
中学の成績的にはもう少し上の高校に行けたのですが、進学した高校が「かなり青春できる」という噂を聞いたのです。
そんな噂だけで進学先を変える自分もどうかしてます。
あんなに中学時代に色々諦めていたのに(第4回連載参照)、結局諦めきれていないのが自分の往生際の悪さを表してるなと思います。
というかそもそも「かなり青春できる」というのも今思うとよくわかりません。誰でも青春できる魔法みたいなことが起きる学校なんてあるわけないんですけどね。でも少しでも可能性が高い方に行ったほうがいいだろうと。
そして自分はドラムをやっていたので、軽音部に入ってスポーツもせず、キツイ努力なんてせずに、そこそこ勉強ができて、彼女も作って、幸せな高校生活をゆるゆる送ろうと思っていました。
しかし、自分の高校生活はそんな理想とは程遠いものになりました。
結果から言います。
ラグビー部で1人だけ朝練を強いられ、彼女ができるどころか部活終わりに部内の男子同士で肛門を見せ合う、そんな高校生活になりました。
こんなに自分の理想の逆行くことあります?
というか「男子同士で肛門を見せ合う」って「彼女できる」から一番離れてないですか?
ではなぜ自分がそんなことになってしまったのか、どうかご覧いただけたら幸いです。
・ラグビー部
高校に入学した自分はもちろん軽音部に入るつもりで、なんならポッキーみたいなカラーリングのドラムスティックなんかを買ったりして軽音部で目立とうと思っていたぐらいでした。が、入学式の日の部活勧誘でラグビー部の上級生にパスされたボールを見事キャッチしてしまい、そこでおだてられた流れでそのままラグビー部に入部。
試合に出たら出たで自分がミスを連発。「青木が下手すぎるから負けた」ということになり、自分だけ朝練する羽目になってしまいました。俺のポッキー柄のスティックが泣いてるよ。
もう完全にスタートダッシュで躓き、いや躓くどころか後ろを向いてダッシュしだすぐらいの高校生活スタートでしたが、言っても「青春できる高校」です。なんとか取り返せるはずです。
・高スクマジック
そもそもなぜ母校が「青春できる高校」「楽しい高校」と言われていたかというと、それはイベントの多さにありました。
進学校には珍しく、生徒主体で行う課外活動だったり、球技大会、体育祭、文化祭がかなり盛んだったんです。
そういった生徒同士で絡む機会の多いイベントがたくさんあり、男女関係なく仲良くなることが多いとのことでした。
高校1年生の時なんかは、「高原スクール」(通称、高スク)という、いわゆる遠足みたいなイベントがあって、クラスのみんなでダンスを練習してそこで発表するみたいな時間がありました。
そこには「高スクマジック」によってカップルができるという噂もありました。そんなマジックでカップルになってもすぐに別れるだろ、と思いつつも少し期待して向かいましたが、行きのバスの中で「青木の私服がダサい」という話題になってしまった瞬間に諦めました。
ファッション雑誌とか買って読んだり、2ちゃんねるで情報集めたりと努力したつもりでしたがダメでした。何がダメだったんだろう。
ダンスも女子たちとイケてる男子が勝手に決めて(その会議に入れなかっただけですけど)、それを練習しましたが最後まで覚えられず……なんの曲を踊ったのかも覚えていません。申し訳ないです。
男子が女子の制服を着て踊ってキャーキャー言われてたのだけは覚えてますが。
あと、夜に部屋で女子に電話をしまくって高スクマジックをパワーで引き起こそうとしている男子もいました。
もうそんなことしちゃうのが高スクマジックだろ。
・ブロック長
他に母校の校風として、「ブロック長制度」というものが存在しました。
ブロック長とは、体育祭や球技大会などの3学年合同でのイベントの時に、1年2年3年の同じクラス同士でチームになるんですけど、その3クラスをまとめるリーダーが「ブロック長」です。
やはりブロック長はモテます。
みんなの前でチームを引っ張る姿、大きな声を出してチームをまとめる力、急に前髪をピンで留めだすメンタルの強さ、後輩たちから告白されまくるだろう周囲からの尊敬、女子のブロック長はサバサバ系を演出しつつも余裕で彼氏がいるという多面性、まだ高校生だというのに人生勝ち組ですみたいな顔をしている将来性の高さ、誰よりも声が大きいという喉の強さ、大勢の前でそこそこのギャグをできるというメンタルの強さ、平気で下げパンできるという足腰の強さ。
どれもが凄すぎて、学校の象徴みたいな人物たちでした。本当にすごい。
みんなはそんなこと思ってないと思いますし、普通にブロック長を筆頭にチームでまとまって楽しんでいた人がほぼ全員でしたが、自分みたいな陰キャのくせに妬み強いやつは、「ブロック長以外はカス」という固定観念にとらわれてしまっていたので、ブロック長になれなかった時点で彼女を作るのも諦めてましたし、青春を送ることも諦めていました。
でも今となっては、普通にブロック長になるのは本当に凄いことだと思うし、別にブロック長じゃなくてもいいだろとは思います。
・変わってしまった友人
高校生活のはじめに、中学の頃の友達がモテるようになってしまったのもすごく置いてかれた感がありました。
同じ中学から同じ高校に進学したのはおそらく10人いるかいないかぐらいで、その中の1人に、中学時代に仲が良かった数少ない友達がいました。
その子とは中学時代に一緒に環境委員に入り、毎日学校の昼休みに臭い生ゴミを運び、休みの日は公園で一緒にどうぶつの森をやったりするほど仲が良かったんです。
家が近所だったこともあり、最初は一緒に自転車で登校していて、部活がない日は一緒に帰るなどしていました。
ですが高校に入って、中学までは全く気づかれていなかったのに、その子の顔面がイケメンだとバレてしまったのです。
そうなってからはもういろいろと早かったです。彼の周りには常に女子がいるようになり、廊下や道ですれ違った時も向こうはとんでもなく大きく手を振って挨拶してくれるんですが(中学の時はそんなタイプじゃなかった)、自分はなんか恥ずかしくて「ウス……」しか言えない。そういえば、あいつも途中から前髪をピンで留め出したな!
余裕で可愛い彼女も作ってました。
そんな中、その子が教科書を忘れた時に別のクラスの自分に教科書を借りに来たんですよ。
自分は教科書にクオリティの高い落書き(たしか、可愛いキャラクターの体を砂消しで消して、めちゃくちゃマッチョにしたり、膝から顔が飛び出してる気持ちの悪いキャラクターを描いたり、いわゆる「この絵がそんなことになるんだ系」の落書きだったと思います。 シンプルに四コマ漫画とかも描いてたかも)をするのにハマっていました(そんなことしてる時点で終わりです)。落書きだらけの教科書でしたがまあ友達だしいいかと思って貸したら、その子がクラスで落書きをみんなに見せたらしいんです。
そしたらその落書きがクラスでめちゃくちゃウケたらしくて、授業後にクラスの陽キャや女子を引き連れて教科書を返しに来ました。「こんな面白い落書きを書く人ってどんな人なんだろう」と割とワクワクして会いに来てくれたみたいなんです。
一瞬、「ここから学校生活逆転あり得るぞ!」と歓喜しましたが、自分を見たクラスの人たちのその時の反応は今でも忘れられません。
「あ……こういう感じか……」
確実にそう言った声が聞こえて、みんな肩を落としてそそくさと帰って行きました。気持ちいいぐらい。
やはり見た目や立ち姿、目つき、髪型を見て「イケてない」ことが確定されただけで、こいつとは仲良くできないと判断されたのが分かりやすく伝わりました。
とにかくこの学校で青春するには「イケてる」ことが前提みたいです。俺めちゃイケとかすごく見てたけどな。
・「おっぱい触る?」
男子は「顔がいい」「勉強ができる(イケメンに限る)」「スポーツができる」が基本的にクラスの上位層に入る存在なのですが、女子はダンス部が完全に牛耳っていました(側から見ていただけなので実際どうか分かりません)。
なので、自分みたいなクラスの底辺中の底辺みたいなやつ(逆ダンス部と呼んでいました)は、ダンス部と話すことなんて夢のまた夢なんですけど、一度だけ話せたことがあるんです。
ある日の休み時間に、ダンス部2人組が来て自分に対して「おっぱい触る?」と聞いてきたんです。
自分は急すぎて頭が真っ白になってしまい、「エ……チョ、ソンナ、エッ……」みたいにキョドってしまって、すぐにダンス部の2人から「キモい!」と言われ逃げられてしまいました。
俺は青春するためにこの学校に入ったのにと思いつつ、今でももし一度だけ過去に戻ることができると言われたら迷わずこの時に戻り、触ります。
そして、逆ダンス部を脱却して高スクマジックを起こしてやります。
※編集部注:高校時代のお話の続きは1/24(土)に配信予定です!
<第6回に続く>