かけおち・青木マッチョのエッセイ連載「青木マッチョの三十年史」【第6回】 「ジョージ/高校時代②」
公開日:2026/1/24

高校で、自分の人生を変えるような人と出会いました。
それが同級生のジョージというやつです。
海外の人とかハーフの人の話じゃなくて、純日本人でそういう名前でした。ジョージと出会ったのは、高校1年生の頃、ラグビー部でした。
少し話してすぐに分かったのは、彼がめちゃくちゃ面白いということです。
面白いし、先輩にも可愛がられるし、部内でもクラスでもちゃんと人気者でした。
自分は面白い人が好きだったので、とにかくこのジョージと仲良くなりたくて、エピソードトークをしたり、変なことをやって面白いと思われようとしたりいろいろ近づこうとしました。
多少話すぐらいの仲にはなりました。そこでジョージからいろいろ教えてもらいました。
・ジョージが教えてくれたカルチャー
当時自分は、9mm Parabellum Bulletというバンドが好きだったんですが、ジョージに銀杏BOYZやゴイステ、ガガガなどのパンクロックを教えてもらって、それが自分にめちゃくちゃ刺さりました。
ジョージはギターも弾いていたので、ドラムをやっていた自分とバンドを組んでもらってお互い好きなやりたい曲をやったり、流行りそうな音楽を教えてもらったり(14年近く前のサカナクションさんや岡崎体育さん)、読んだことのない面白い漫画を教えてもらったり、自分のサブカル知識が身につきすごく人生に幅が出た気がします。
お笑いの面でも、テレビに全く出ていない、YouTubeでそんなに再生もされてない芸人もジョージはよく知っていて、そこで面白い芸人を知ることができてネタ動画もすごく見るようになりました。
当時教えてもらった音楽やお笑いは今でも大好きなんで、自分に合ってたんだろうなぁと思います。
そんなジョージは、自分が言うのもなんですがそんなに顔はカッコよくなかったんですけど、なんとあのブロック長でした。
顔の良さとか運動神経に頼らず、面白さだけでみんなの先頭に立つ姿がすごくカッコよくて、いろいろと考えさせられたりしていました。
顔とか性格とかを言い訳にしていたけど、ちゃんと面白かったり魅力があればジョージみたいにいろんな人から好かれるんだなと思ったのを覚えています。
そんなジョージが本当に仲良いやつはブロック長タイプのやつばっかりでしたけどね。
今思うと自分はただジョージにいじられてるだけで、本当の友達とは思われてなかったと思います。
ちなみに、自分は芸人になる時にジョージと一緒に上京しようとしていました。
ですが彼はパチンコにハマり、借金を重ねて養成所に入れませんでした。
「先に俺やっとくから、来年東京来てよ! そしてコンビ組もう」と自分は言いましたが、次の年もその次の次の年もお金が原因で養成所に入れませんでした。
お金って怖いですね。
自分もいろんな経験をして、たくさん面白い人を見てきましたけど、ジョージなら今芸人になっても全然通用するぐらい面白いやつだと未だに思っています。今何してるのかなぁ…(調べたら一昨年養成所に入ってました。入れたんだ)。
・学園祭
母校は、学園祭もかなり盛り上がる学校で、高校3年生はクラスで劇をやります。
毎年秋にやるのですが、自分が3年の春にラグビーで膝の靱帯を切ってしまい、入院したんです。
その時に、それこそジョージから「青木面白いし、入院中暇だろうから劇の台本書いてよ」と言われました。
自分はそれがめちゃくちゃ嬉しくて夢中で台本を書きました。
よくあるタイムスリップ物ですが、割といい出来でしたし、楽器を演奏できる人がクラスに集まっていたので他のクラスではやれない、劇のエンディングでバンド演奏を入れるという演出も入れました。
ドラムをやってモテる可能性をまだ捨てきれていなかったのかもしれません。
いざ劇の本番、順調に物語は進んでいき最後のバンド演奏が始まりました。
するとビックリするぐらい照明が自分に当たらない。
自分がドラム演奏中に見た光景といえば、みんなの背中とボーカル(ジョージ)とギターに当たるスポットライト。みんなの背中が眩しいぐらいでした。
そんな暗闇の中ドラムを叩き続け、でもわかってくれる人はいるはずと期待して体育館を出たら聞こえてきたのは「ドラムうるさくなかった?」でした。
劇自体も、全クラスの中で2位を取ることができたのですが、台本を自分が作ったのなんて誰も覚えておらず、誰からも褒められず、ただギターのやつがめちゃくちゃモテただけでした。
これ、社会に出てからもそうだと思うんですけど、最初についたイメージを変えるのってほぼ不可能に近いと思うんですよね。
何だか芸能界もそんな気がしますよね、滑りキャラで世に出るとなかなかそこから変わる気がしないんで、キャラや求められる物が変わりつつもテレビに出続けてる先輩方はめちゃくちゃすごいなぁと。
少し脱線してしまいましたが、とにかく個人的には割とカーストを助長するような母校の風潮(すごくいい高校ですが!)が、今の自分にとってはプラスになってるのかなと思います。
何も悪いことはされてないのですが、あの頃のブロック長やダンス部を見返してやりたかったし、青春するために入った高校で青春できなかった自分を助けてあげたい。そんな気持ちが割と今の原動力になってるんじゃないかなと思います。
ただ、どれだけ頑張って、ブレイク芸人1位になったとしても、あの頃の青春は絶対帰ってこないし、今更どれだけチヤホヤされてもこの思いは消えないと思います。消えろ!
この前ありがたいことに営業で高校の文化祭にお邪魔したんですけど、生徒さんたちの優しさもあってか舞台に出ただけで歓声が上がりました。
その時、いつもの営業やイベントで歓声を浴びた時とは明らかに違う感覚がありました。
ただ相手が高校生で若いから、という理由ではなくて、当時の人気者はこんな感覚だったのかなぁとか考えると羨ましくてしょうがなくなるんですよ。
これ自分が高校生だったら余裕で誰かと付き合えるなって思うんです。もうできないですけど。
できないけど、できないから、自分の原動力は無限だと思ってます。たまに悲しくなりますけどね。
あ、すみません。前回言ってた男子同士で肛門を見せ合う話をするのを忘れていました。
でももういいですかね、聞きたくない人もいるでしょうし。
ジョージの話は十分しましたし。
<第7回に続く>