なぜ「信じてるぞ」と言いたくなるのか。『ワンパターン献立』で明かされた長谷川あかりの“献立方程式”の凄さ【書評】
公開日:2026/1/11
“味つけの黄金ルール”がレシピを無限にする
特に印象的だったのが、“味つけの黄金ルール”。
長谷川さんは、「代入(置き換え)」の発想であたらしいおいしさの新レシピを生み出しているという。
詳しくは以下のような形だ。
・肉や野菜に、以下3つの要素を組み合わせるだけで無限に料理が生まれる。
1.塩味:おいしさの土台を作る(例:塩、醤油)
2.コク:味に奥行きを与え、料理をまとめる(例:オリーブオイル、粉チーズ、バター、ごま油)
3.酸味:食欲を増進させ、味の輪郭をくっきりさせる(例:レモン、梅干し、酢)
たとえばパスタのレシピで「茹で汁の塩+オリーブオイル+レモン」という構成を見たことがある人は多いだろう。
長谷川さんは、この構造を意識しつつ、調味料や食材を代入してさまざまなレシピを考案しているのだ。
長谷川さんの最近バズっているレシピの一つ「味噌とみりん、パルメザンチーズで作る発酵肉じゃが」なども、和食の型に洋のコクを代入した好例といえるだろう。
最後にふりかけるパルメザンチーズで見違えるので、味見の段階では少し足りないかな?くらいで大丈夫。ほくほくです。 pic.twitter.com/fDjklrw4oh
— 長谷川あかり (@akari_hasegawa) November 26, 2025
「1肉魚+2野菜」で回る、35献立70レシピ
本書では「肉または魚1種+野菜2種」を基本構成とし、7日×5週=35献立(70レシピ+α)を紹介。
献立は「メイン+スープ」のパターンが多く、スープも「玉ねぎだけスープ」などシンプルなものが目立つ。つまり2品を作るにしても料理のハードルが低いのが嬉しいポイントだ。
試しに作って印象に残ったのが「鶏とじゃがいもの酒蒸し マスタードチーズ」だ。

蒸すだけというシンプルな工程にもかかわらず、仕上がりの味はとてもやさしく滋味深い。洋風の風味はあるものの主張しすぎることはなく、味つけが控えめでもしっかりとした満足感がある。ほどよい酸味とチーズのコクが、鶏肉そのもののうまさを静かに引き立ててくれる一皿だった。
なおこの本ではワンパターン献立の定番手法として、このほかにもさまざまな「酒蒸し」レシピが取り上げられている。
多くの人は酒蒸しというと料理酒(日本酒)を想像すると思うが、本書では白ワインに置き換えたレシピも多い。同じ酒蒸しでも、それだけで香りや方向性が変わり、食材の組み合わせ次第でレシピは文字通り無限に広がる。まさに、方程式の威力だ。
