なぜ「信じてるぞ」と言いたくなるのか。『ワンパターン献立』で明かされた長谷川あかりの“献立方程式”の凄さ【書評】
公開日:2026/1/11
肉がなくても、ちゃんとうまい豆腐の餃子

もう一品、印象的だったのが「ツナと切り干し大根の豆腐餃子」。肉を使わず、ツナと豆腐、切り干し大根だけで仕上げる一皿だ。
口当たりはとてもやさしく、後味はさっぱり。素材の味がしっかり立ち、つけダレの酢と粗びき黒こしょうが“黄金ルール”通りに味を締めてくれる。胃にも心にもやさしい、長谷川さんらしいレシピだ。
「じゃがいも×かにかま」が成立する理由

「じゃがいもとかにかまのワンパンパスタ」も忘れがたい。
安価な食材なのに、口に入れるとしっかり“カニのごちそう感”がある。
じゃがいものやさしい食感に、かにかまの凝縮した旨みが重なり、オリーブオイルと白ワインの香りがほんのり洋風の余韻を添えてくれる。
どの国の料理とも言い切れないが、ひと口で“長谷川あかりの味”だとわかる一皿だった。

レシピ本であり、「料理の教科書」でもある
長谷川あかりさんのレシピ本はこれまでも多数あるが、本書の魅力は「なぜその組み合わせが成立するのか」を理論で理解できる点にある。
読めば読むほど、作れば作るほど、料理を成り立たせる構造が見えてくるのだ。
ただ、方程式を理解できても、その“味の妙”に溢れた新レシピを自分が作れるか? というと、それは簡単ではない。
方程式を理解できたからこそ、食材の性質と味のバランスを直感的に組み立てる、長谷川さんの感覚の凄さもわかる――。
『シンプルだから悩まない! ワンパターン献立』は、献立作りを軽やかにしてくれる実用書であると同時に、その才能の一端を間近で覗かせてくれる一冊でもあった。
文=古澤誠一郎
