「井田さんのラフを拝見すると、いつも涙が出るんです」著者の“好き”を詰め込んだ『家が好きな人』の制作秘話【井田千秋×担当編集インタビュー 前編】

マンガ

公開日:2026/1/25

本が好きな人は家も好き

──現在、累計発行部数は20万部に達しています。どのような形で人気に火がついたのでしょうか。

鎌倉:段階的にじわじわ広がっていった印象です。最初に火がついたのは発売前。井田さんがSNSに投稿したマンガが次々にバズり、そこで知ってくださった方がたくさんいました。発売後もメディアに取り上げていただきましたし、弊社でも新聞広告を積極的に行いました。それもあって、読者層も幅広いですね。小学生から70代まで、お手紙をいただいています。

井田:書店さんの力も大きいですね。商業出版ならではだなと思いますし、いつも本当に心強いです。

鎌倉:もともと井田さんのファンだった書店員さんも多く、発売直後から大きく展開していただきました。重版後も継続して応援してくださっていて、本当に愛していただいているなと感謝しています。

──書店員さんに支持される理由として、「井田さんが描く家には本がたくさんある」という点も大きいのではないでしょうか。

井田:確かに、「どの家にも本棚がある」という感想をいただいたことがありました。私が家の風景を想像すると、当たり前のように本棚が思い浮かぶんですよね。指摘されるまで意識していませんでしたし、逆に「そうか、本棚を置かない方もいらっしゃるのか」と気づかされました。

鎌倉:過去の同人誌でも、書架を描いていますよね。私も大好きです。

井田:本が好きな人は、家も好きですよね。家にこもって本を読むからでしょうか。図書館みたいな家、壁一面に本棚のある家には憧れがありますし、私が描く時もその気持ちが反映されるのだと思います。

鎌倉:『家が好きな人』4章のミドリさんの家に憧れます。

  『家が好きな人』より
『家が好きな人』より

──井田さんの作品には、海外でもたくさんのファンがいるそうです。どのような反響が届いていますか?

鎌倉:『家が好きな人』はすでに12言語で発売が決定され、ヨーロッパでも人気です。フランスやスペインでは、「女性マンガ」ジャンルのランキングで上位に入っています。こたつなど、日本独特の文化が受け入れられるのかなと思っていましたが、人気が高くてありがたいですね。新刊の『おさまる家 井田千秋 作品集』も、日本語・韓国語・タイ語・中国語繁体字の4言語で同時発売になります。

井田:SNSに投稿したイラストに座椅子を描いた時、海外の方から「これは何?」「椅子なのに足がない。え、床に座るの?」と不思議がる反応がありました(笑)。「これは座椅子と言って、日本では床に座る文化があるんです」と説明したのを覚えています。

 海外の読者さんからは「COZY」という表現で感想をいただくことがあります。「こぢんまりして落ち着く空間」というような意味だと思いますが、そういう雰囲気を好きな方が国を越えてたくさんいるんだなと感じています。

取材・文=野本由起

<第8回に続く>

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