トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/ 第23回「札幌市東区」

文芸・カルチャー

公開日:2026/1/31

僕は北海道札幌市出身です。北海道の中では王道中の王道で、出身地を聞かれた時に北海道出身というと

「北海道のどこ!?」

とちょっと盛り上がるのですが札幌だというと

「あぁぁ。うんんん」

という感じで札幌なのねぇ。北海道でベタだねぇ。という空気感に包まれることが多々あります。北の国からの富良野とか宗谷岬のある稚内とかを期待するのでしょう。
札幌出身とわかった後の会話で

「札幌けっこう行ってるよ! どこに住んでるの?」

と、言われることがあります。
これはなかなか土俵際に追い込まれてまして、恐らく札幌に来たことがある人はクラーク像の羊ケ丘とか、ラーメン屋激戦区の豊平区のラーメン屋さんとか、そういう所しか当然知りません。

「東区という所です」

「あぁぁ。うんんん」

リピート放送です。
なんとも言えない空気が流れるので、「回転寿司の『トリトン』がある」というと、「知ってる」となってことなきを得て終了します。「トリトン」はチェーン店なので東区以外にもたくさんありますが。つまり東区は

「全国的に有名な物がない」

のです。

何年か前におそば「ゆで太郎」ができた時にディズニーランドよろしくの大行列ができたという街です。

20年くらい前に、パチンコ屋に閉店までいてお店を出たら、もう次の日の開店待ちで並んでた人がいた。という街です。

小さい頃外国人の方が歩いていたら
「外国人だ!」
と、ビックリしていた街です。

ちょっと前までエロい映画館があったし、エロい本の自動販売機もあった街です。

東区で育った有名人も自分で言うのもあれですが、僕らがかなり有名な方で僕らの次とかになると松竹芸能の「共犯者」の国京君になります。
そんな感じです。

でも、僕は上京するまでの25年間で実家を2回引っ越しているのですが、

東区(東区役所前駅)

東区(環状通東駅)

東区(元町駅)

と、東区内のみを引っ越しているのです。もちろんお母さんは今も住んでます。実家を出てる兄貴も住んでます。
そして月に1回は札幌に仕事で帰っているのですが、必ず東区の実家に帰って泊まっています。
そうです。東区は

「何か良い」

のです。

ちゃんとした理由はわかりません。何がいいのかと言われてもしっかりと言語化できません。言語化できてないような言葉で言語化をするなら、なんか
「かまして」
くる人はあまりいない気がします。ヤンキーとかも多いような所でしたがハッタリで
「かまして」
くる人はなんかしょーもないやつみたいな空気になっていた気がします。

でも、それも「あえて言語化するなら」なだけで、それよりも

「何か良い」

の方があってる気がします。
すごく思うのですが、最近は何かと「言語化して」とか「説明して」とかが多すぎる気がします。例えばお笑いに関してはですが、「面白いのに理由がありすぎる物」にあまり魅力は感じなくて、「何でかわからないけど面白い物」の方が魅力的だなと思ってしまいます。
だから僕は東区が良い理由を聞かれたら

「何か良い」

で伝えていきたいと思います。
そして、「何か良い」東区がすごく好きであり続けたいと思います。

今月、東京での住まいを引っ越すことにしました。
上京してから2回目の引っ越しになります。今まで住んだ街はこのようになっています。

荻窪(北口)

荻窪(南口)

荻窪(北口)

荻窪、何か良いんだよなぁ〜。

<第24回に続く>

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